前回のブログで筑駒の国語突破には、「スピード」「記述力」「いつでもできる」の3つが大切だとお伝えしました。今回はその中でも、筑駒の国語で合格点をとるための胆となる「記述」についての攻略法をご説明致します。
筑駒国語記述問題の決定的特徴は、「文中に根拠が明示されていない記述問題の出題が多い」ということです。塾で鍛えられた皆さんは、文中に根拠が明示されている記述問題にはめっぽう強く、また、なんとか文中の記述を使ってまとめようと努力する習性も身についていると思います。しかし、筑駒の国語の問題はその上をいっていて、「豊富な読書量」や「日頃からの対人コミュニケーション力」に裏打ちされた「人間観察力」「物事への洞察力」が問われます。今年の入試問題で考えてみましょう。今年の入試問題は例年にも増して、その傾向が強かったと思います。
今年の詩以外の記述問題は、大問1・2合わせて、7問出題されていますが、その中で文中の記述を直接の根拠にしてまとめることが出来るのは、大問2の問三のみです。あとの6問は文中に直接の理由は明示されていません。では、どうすればよいのでしょうか。
①まず、「文中に根拠が明示されているかどうか」を瞬時に見分ける力が必要です。前回ご説明した「判断のスピード」ですね。大問2の問三がそれにあたります。傍線③の直前の一文をまとめれば、ほぼ正解にたどり着けます。筑駒受験生にとっては、比較的取り組み易い問題です。
ではそれ以外の「文中に根拠が明示されていない問題」にはどう対応すればよいのでしょう。
②「傍線部の内容をわかりやすく言い換え、その行動(内容)の理由を一言で(心の中で)言ってみる」
大問1問一「「きれい」と思わず言いかけて、口を押さえた」→「「きれい」と言わなかった」のはなぜか。「きれい」と言わなかったのはなぜかというと、などという理由はどこにも書いてありません。
前後の内容から自分で判断するしかありません。「光子さんへの配慮(思いやり)」とさっと浮かぶと、後はうまく書けると思います。
大問2問五「完全な死体になった時、「秘密」は熟す」とは、どういうことですか。
↓(言葉を置き換えます)
「完全な死体になった時」→「死んだ時」
「「秘密」は熟す」→「「秘密」は完成する」
と置き換えが出来れば、あとは「秘密」が何を指しているか、を確定させれば良いことになります。
傍線部直前の記述に、
「すべての死には、必ず何か意味がある」
「すべての生に、何か人間には到底理解できない「秘密」があって」とあります。ここをどう読み取るか、ですね。「秘密」を「価値」と置き換えることに気づけるとうまくまとまります。
「死んだ時、価値は完成する」となります。これをベースにして、ふくらませていけばいいわけです。
「一生懸命生きた人の人生(=死)には価値がある」ということですね。
③「プラスの心情か、マイナスの心情か判断し、その理由を考える」
大問1問二「私は半分横を向きながら聞いていた」→マイナス→なぜ→直後の「そうですか、よかったですね、優しいおかあさんがいて」の記述から「おかあさん」のことが関係ある、と気づく。
大問1問三「光子さんは苦笑いをした」→マイナス→なぜ→「私はあわててチエコさんを前に抱え込んだ」というイコちゃんの行動を見た光子さんの気持ちを想像してみる。
大問1問四「今日は声を張り上げている」→プラス→なぜ→前後の記述だけで判断するのではなく、本文全体から、今置かれているマイナスの状況から、なんとかプラスな気持ちにしようとするイコの心情を読み取る
④「抽象を具体に、具体を抽象にして考える」(主として論説文)
大問2問一「「小さな死」とはどのようなものですか」
「小さな死」(抽象)→「八月一日」(具体)「八月二日には、八月一日は死んでしまった」(傍線部の直前の記述)
「八月一日」(具体)→「過ぎ去った永遠に戻ってこない日」(抽象)→評価を入れる→大切な日々・かけがえのない日々」(かけがえのない、などの言葉が浮かぶとすてきです)
ここを抽象化出来なくて、本文の八月一日の具体例を書こうとすると、だらだらと長くなり、しかも的を射ない答案になってしまいます。
上記①~④のどれにあたるのか、どれでアプローチすれば良いのかを瞬時に見分けて、書ききる必要があります。それには、「過去問演習」と、「適切なアドバイス」、に基づく合格答案になるまでの「解き直し」を繰り返す他はありません。
オリンピックの金メダルは各競技各種目では1つしか取れませんが、筑駒合格には、120個の金メダルが用意されています。来春2月5日に、きっと、君の首にかけてください。
次回は「筑駒の詩」の攻略法、に触れたいと思います。詩に使える時間は多くて10分まで、ですよね。その10分で「使える技」がないと、実戦では活かせません。そんなとっておきな「技」をご説明します。
乞う、ご期待下さい。