小説や漫画から「映画化」されたものが多いですよね、最近の邦画。原作ファンの入場が見込めるので企画が通りやすいとか、宣伝しやすいとか、色々理由はあるのでしょうが、原作ファンの人たちにとっても、新たな魅力を発見できるのが楽しみなことでしょう。
私も「ルパン三世念力珍作戦」(1974年・坪島孝監督)を成人してから観たときには色々な発見がありました。田中邦衛さんの次元大介とか、伊東四朗さんの銭形警部とか魅力的でしたねえ。
さて、お話ししたいのは国語授業・テストでの「脳内動画化」です。特に物語。
私は授業中、間違えた答えを出した生徒の目の前で、その間違えた答えの通りに登場人物を演じて見せることがあります。間違えた答えですから、本文や設問と矛盾した行動・表情・台詞になり、おかしくなるので、生徒の皆さんは笑います。間違えたご本人も一緒になって笑っています。しかし笑いごとではないのです。書いた通りに目の前で演じて見せればご本人もおかしいと気づく誤答に、書いている最中に気づいていないからです。筑駒・御三家を目指し、エクタスに通う優秀な生徒でもそのような答えを書いてしまうことがあります。
自分の頭の中で、自分の書いた通りに登場人物、最近の言葉でいえばキャラクターを動かしてみれば間違い・矛盾・おかしさに気づきやすくなり、珍解答が減っていきます。試してみてください。
・・・そんなことくらい簡単だろう、と思いますか? ためしに吉野弘さんの「虹」という詩をお子様に読ませて、16行目くらいまでを絵にさせてみましょう。いかがですか? 詩に登場する目に見えるもの、全部描けましたか? 位置関係はおかしくないですか? 意外と難しいものです。
お子さんはどうしても刺激の強い娯楽を求めます。自分の意志で自分の娯楽を選ぶ際、テレビやビデオゲームに読書は負けてしまいます。つまり、自分の力でビジュアルにしなくても済む娯楽が選ばれます。しかし、文章を読んで情景を想像する力こそ、「読解力」を構成する重要な要素なのです。低学年のうちは特に気を付けて本を読ませてあげてください。想像させるとは言っても、文字だけの本でなくても大丈夫ですよ。挿絵はビジュアル化を助けてくれます。
高学年の方は・・・エクタスの授業を受けていれば大丈夫です。頑張りましょうね。