「柔よく剛を制す」という言葉をご存知でしょうか?日本のお家芸とも言える柔道でもよく使われることばです。この部分の意味は「しなやかなものは、弱そうに見えてもかたいものの矛先をうまくそらして、結局は勝つことになる」つまり、力の弱そうなものが強そうなものに勝つという意味です。柔道などの格闘技で、ひ弱そうに見える小さな選手がいかにも強そうな体格のいい選手を投げ倒す…こんなシーンでよく使われる言葉です。
ただ、意外にこの続きに「剛よく柔を断つ」とあるのを知っている人は少ないようです。「かたくて強そうなものは、ひ弱なものを寄せ付けずに勝つ」という意味です。なんだか、矛盾したようにも聞こえる言葉ですね。
通して意味を考えると、「柔」であっても「剛」であっても、勝てる機会は必ずあるのだ、ということでしょうか。
いよいよ7月に入り、夏本番を迎えました。1学期の学習内容や各種テストの成果から、一人一人、この夏は「何を中心に」勉強しないといけないか、目標を立てていることと思います。夏を制する者は受験を制する、と言われるようにこの夏休みにどれだけ成果を得られるか、で受験校が決まってくるといっても過言ではないでしょう。
学習の「量」と「質」両面からきちんと目標を立てましょう。やみくもに長い時間机に向かっても、効率の悪い学習では力はつきません。かと言って、いくら効率だけを意識しても学習の絶対量が不足していればやはり良い結果は期待できません。
学習量の目安は「100×(学年-2)」などと言われます。つまり、小6なら400時間となります。夏休みが40日あるとして、1日10時間が学習量の「目安」です。もちろん、行事がある日もあるでしょうし、毎日完全にとはいかないでしょうが、トータルで400時間を超えよう、という目標を持ってはどうでしょう。
よく、目標を立てる際「苦手な社会をがんばる」とか、「算数の図形を解けるようにする」といったことを掲げる人がいますが、達成できたかどうかはどこでわかるのでしょうか。何となくできるようになった…という感覚的な達成感では、あまり意味がありません。その点、「○○時間は勉強する」とか、「△△問の問題を解く」といった、数字を含めた目標であれば、時期が来た時に達成できたかどうかははっきりわかりますね。今年の夏は、それぞれ自分の目標を明確にし、「やり切る!」という意識で臨んでほしいと思います。
特に小6の受験生諸君は、この夏休みをどう過ごすかで2学期以降の意識やモチベーションが大きく変わります。11月・12月になった頃の自分の姿を想像してみてください。先のこと…などと思っていたら大間違い。あっという間にその時期がやってきます。その時になってあわてずにすむように、今のうちから準備を始めましょう。
4科目それぞれの自分の現状は「柔」なのか「剛」なのか。「柔」と意識する科目は、土台をこの夏にしっかりしあげる。また「剛」だと言えるのなら、さらにワンランク上を狙えるような深い学習をする…そうした大枠を意識した上で、前にも述べたように具体的な目標を掲げ、「天王山」とも言える夏休みを有意義に過ごしてください。