2017年入試が終り、塾での学年が上がり、また学校での学年が上がり一月が経ちました。あっという間に夏のようなあたたかい日が続いていますね。今年6年生のみなさんは9ヶ月後の入試に向けて受験生としての意志を強く持ち始めている頃だと思います。
先生のブログでは、毎回筑駒、御三家中学校で出題された問題を紹介していきます。
2013年の麻布中学校の大問1では、売られている飲料水が入っている「入れもの」に関する問題が出題されました。ペットボトルと缶の比較、またはそれぞれ形が違うものを比較し、なぜそのようになっているのかということを比較、考察させる問題でした。
みなさんにとっては「ペットボトル」入りの飲料が当たり前になっていると思いますが、先生が子供のときには「缶」入りの飲料が広く普及していました。お店でもそうですが自動販売機でも同じですね。最近見かけることが少なくなりました(設置台数が少なくなったのではなく、ペットボトルや缶の自動販売機が増えたので見かける機会が減ったということです)が、紙コップでの自動販売機もたくさん見られました。また、映画館や飲食店ではガラス瓶入りのジュースやお酒(ラムネがイメージしやすいですかね)が当たり前のように出回っていました。
ペットボトルが普及したのはここ20年くらいのことです。最初は大型(大きなペットボトルですね)のものが普及し、規制が緩和された後にみなさんが今手に取るような小型のものが普及されるようになりました。ガラス瓶は重く簡単に割れてしまいますが、ペットボトルは軽くて丈夫です。缶は中身が見えませんが、ペットボトルは透明なので中身が見えます。ペットボトルが普及してきたことには科学技術の進展とこのような背景があると言えます。
さて、では「缶」に目を向けてみましょう。
世界で初めて「缶」(ここでは正確に書くと「缶詰」ですが)をつくったのはナポレオンであるといわれています。彼が軍隊を率いて遠征する際、一番ネックとなった問題は兵隊たちの「食料」でした。
遠征をするので食料を長期間持ち歩かなければなりません。当然、生の食材や保存するための加工をしていない食材は腐ります。また、卵が一番イメージしやすいと思いますが、ちょっとした衝撃で割れて(壊れて)しまいます。
これらを解決する手段として、まず初めに提案されたのは、ガラス瓶に食料を詰め、加熱殺菌し栓で密封するというものでした。何もしていない状態よりは食料の運搬は便利になりましたが、ガラス瓶が重くかさばること、ガラスなので衝撃で割れてしまうことなどが問題点として挙げられました。
そこで登場したのが「缶」でした。当時の技術でも金属をうすく広げ筒状にし、ふたをして密封することができました。これである程度までの問題は解決し、軍隊を中心に「缶」入りの食料や飲料が普及しました。しかし、一般家庭に「缶」が普及されるのはまだまだ後です。なんと、当時は「缶切り」が無かったのです。簡単に言うとナイフや石などを使って一生懸命缶に穴を開けて中身を取り出していました。缶切りがつくられてから広く一般家庭に普及するようになりました。
現在では「缶」入りの飲料は缶切りがなくても開けられますね。ステイオンタブ式という開け口がついています。金具を起こして、倒せば飲み口が開きます。みなさんにとっては当たり前だと思いますが、この開け口は金具が外れることなく開け口を開けることができます。以前はプルタブ式と呼ばれる開け口で、金具を外すことで飲み口を開いていました。開けた金具がそこら中に捨てられてしまうことから(安全面についても考えて)、現在のように金具が外れない形へと変わっていったのです。
「缶」に着目していろいろと書きましたが、この問題のテーマである「ペットボトル」「缶」に関してはまだまだ面白い背景、今後のさらなる発展への展望があります。残りは次のブログで紹介したいと思います。
今身のまわりにあるもののすべてを「当たり前」と思わないで。
「どうしてこうなっているんだろう?」
「こうすればもっと便利になるかな?」
そんなことを常に思い続けることができる受験生に。
頑張れ!受験生!