東京は例年よりも数日だけ早い梅雨に入りました。受験生のみなさんは学校行事がある中受験勉強に励んでいることでしょう。
さて、2018年の麻布中の大問1ではヤンバルクイナに関する問題が出題されました。ヤンバルクイナは沖縄島に生息する固有種で、飛べない鳥です。麻布中では過去にもペンギン、ダチョウと飛べない鳥をテーマとした問題を出題しています。
「飛べない」という表現は正しいのでしょうか?
人間が意図的に家畜化したニワトリ、ガチョウ、アヒルなどの鳥は飛ぶ目的がなくなってしまったので「飛べなくなった」という表現が正しいと言えます。
しかし、世界中に存在する「飛べない」鳥は、「飛ばない」鳥という表現が正しいと言えるでしょう。
飛ぶ鳥の多くは、翼の骨を大きく発達させ、翼を動かす筋肉である大胸筋を支える竜骨突起と呼ばれる骨を発達させました。飛ばない鳥はこれらの骨を小型化もしくは無くし、飛ぶという移動手段の代わりに走行や水泳で移動するように進化をしました。つまり、「飛ぶ」という進化をした後にわざわざ「飛ばない」という進化を遂げたのです。
飛ばない鳥は現在では世界に約40種類が存在しています。有名なのはペンギン、ダチョウ、エミュー、ヒクイドリ、キウイなどですね。
ではなぜ飛ばなくなったのでしょうか。
いくつかある説の中の一つを紹介します。
ニッチと呼ばれる用語があります。ニッチとは、生態的地位を示す言葉であり、ある種の生物が利用する環境要因を意味します。ある地域(限られた地域(島など)であることが多い)で、陸に住む動物のニッチが空いていた場合、鳥は膨大なエネルギーを使って空のニッチの席を確保することを止め、陸で生活することを選んだと考えられます。つまり、鳥が「飛ばない」という選択肢を選んだ理由の一つとして、二次的に進化する際に陸に生活の場があったという一つの説です。
何かを失った生物がいたときに、「退化した」と考えてしまいがちですが、必ずしもそうとは限りません。むしろ、飛ばない鳥たちの二次的な進化のように目的を持ってあったものを失くし、より環境に適応した姿へと進化した生物が多くいると考えられます。
受験生のみなさん、今の受験勉強をより良いものへと進化させ、最高の結果を出せるよう、努力を続けてください。
頑張れ!受験生!