夏を終えて、新たに横浜校に通い始めた生徒たちも、およそ1か月が経ち通塾に慣れてきました。
子どもたちの成長というのは、一つの道を進むものではありませんので、全員が同じように成長し成果が出るものではありません。焦る必要はありませんが、放置していてもよくありません。どの時期にも言えますが、ご家庭は子どもたちの成長に興味関心があることを、素直に子どもに表現していきましょう。期待されることで前に進みやすくなりますし、進み続ける原動力にもなります。
さて、「先取り学習」についてご相談を受けることがあります。どんどん先に進めたほうがよいのでしょうか?
社会に出て、第一線で活躍するために、中学・高校・大学と、その時期その時期で様々なことを学び、経験し、成長していきます。当然小学校の間も準備期間です。どれだけ先取りをしても「完成形」になることはありませんが、今が「未完成」なわけでもありません。単に「未習得」なだけですから、習得し進めていくことが大切なのです。先に進めていくよりも、低学年では特にじっくりと深めていく作業が効果的です。中学受験の内容は公立小学校のカリキュラムだけでは太刀打ちできません。そのため、公立小学校のカリキュラムに比べて、進学塾のカリキュラムは早くなっていますが、まったく違うカリキュラムでは非効率です。ですから、学年が上がるにつれて少しずつ差が開いていきます。また、習得したことも、人間ですから少しずつ忘れていきます。そのため、繰り返し取り組む必要があります。
とはいえ、算数については、先取りさせたことがよかったという話と悪かったという話を両方聞きます。ご相談を受けるのも算数が多く、中学内容の方程式まで解けるにもかかわらず、図形や文章題が解けないという学習相談がある一方で、先に進めたことにより自信を持ち、ほかの科目にも精力的に取り組めているというケースも存在するので、保護者の皆様は迷われているのだと思います。基本的な計算力や文章を理解するための日本語力は早期に定着させてしまったほうが良いと考えます。基本的な計算ができないと、深く考えることができても答えに到達できません。
私たちは、解説して「わかった」という言葉を頼りにするのではなく、問題の取り組み、考える時間や発問に対する反応を見て判断します。できるからと言ってどんどん先に進めて、混乱してしまっては意味がありません。大切なことは小6の2月に標準を定めていくことだと考えます。
ひとりひとりをよくみて、負担にならないように適切な負荷をかけてあげること。失敗を恐れずに取り組むことを継続させてあげること。困ったときには相談し、助言ができる関係性を作っておくこと。こういった日頃の小さな取り組みの積み重ねが、子どもたちには必要だと私たちは考えます。