卒業生の思い出(麻布中編)

2012/11/9

エクタスニュース

親の意思とは裏腹に子どもにとっての塾への通塾の動機は様々かと思います。子どもにはどんな動機からのスタートであれ、それによって塾に通いたくなり、受験を志すきっかけになり、勉強を一生懸命するようになってくれれば、お父様お母様もうれしいのではないかと思います。

昔こんな動機で中学受験を志し、入塾され、見事麻布中学の合格を果たした教え子がいました。
その子は学校の給食が極端に苦手で、毎日苦労していたようです。ある日見かねたお母様が「私立中学に行くと、給食がなくてお弁当になるのよ」と話したところ、彼は「絶対私立に行きたい」と即答し、「それなら塾に行って勉強しないと入れないけどどうする」「僕、塾行く!」といういきさつで入塾されてきた教え子がいます。彼の受験の動機は「給食を食べなくて済むから」だったわけですね。

その子は大変個性的な子で、かばんを外さず肩から下げたまま、授業中ずーっと立ったまま授業を受けるのです。そして整理整頓が苦手で、プリント等の配付物は足元に散乱し、授業が終わってみんな帰ったあとでも、ずいぶん時間をかけて片付けていた、といいますかカバンに詰め込んでいました。私もなぜかその当時はあまり注意もせず、そのまま授業を受けさせていました。他の生徒に迷惑をかけることもなく、授業にも一生懸命参加してくれていたし、個性的で面白い子だなあ、と思っていました。
この子に合い、認めてくれる学校は、麻布しかないだろうと思い、麻布中を推薦しました。お母様も本人もそう感じ、志望校となり、見事麻布中合格を成し遂げてくれました。

全員一律にきちんとした状態で受けさせるべき、という意見もあると思います。でも、彼の個性を尊重するなかで、麻布中合格を通じて彼の成長の力になれたのではないかな、とも思っています。
すべての子に万能な魔法の指導法や接し方はなく、その子その子に最適な接し方、指導、声がけ等が必要であると改めて感じています。
給食が苦手という理由で中学受験をはじめ、麻布中に合格したかつての教え子を思い出し、生徒指導はどうあるべきか、思いを新たにして、また今日から授業に臨みたいと思います。
今日は小3生と小6生の授業です。2月1日まであと85日! です。

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