試験時間40分 満点100点
随筆文1題 物語文1題 漢字5問
大問1 随筆文 出典は星野道夫『星野道夫著作集5』「オオカミのこと」から。
筆者は野生のオオカミと出会ったことがあります。筆者はあるときアラスカで二頭のオオカミと遭遇します。写真を撮ろうとしましたが、すでに巣穴はもぬけの( )で、失敗します。オオカミの足跡に、筆者の山靴の跡が交錯していたのでした。アラスカではこのころ、オオカミをめぐって論争がありました。アラスカの人々にとって貴重な肉であるムース(ヘラジカ)が減少している事態に対し、オオカミを殺し始めたのです。皮肉なことに、その後、予想外の原因が判明します。
問2「もぬけの( )」の空欄にあてはまる言葉を、ひらがな二字で答えます。問4筆者がオオカミに対して苦い思い出が残った理由を説明します。問7筆者はどういうことを「皮肉」と感じているのか説明します。
オオカミと遭遇したとき、筆者は知らなかったとはいえ、自分がオオカミの生活圏に入りこんだことで、オオカミがせっかくつくった巣穴の安全を脅かして警戒させ、移動をよぎなくさせたことを申し訳なく思い、深く後悔していました。また、皮肉なことに、アラスカの人々は十分な調査をしないままムースの減少はオオカミが原因だと決めつけ、殺し始めましたが、予想と反してグリズリー(ヒグマの一種)が原因だと判明したころには、すでに多くのオオカミが殺されていました。
われわれは、自らを取り巻く生物の多様性や人間社会における文化の多様性を大切にし、それらがもたらすものに目を向ける必要があります。自らと異なる存在を排除していく姿勢は、結果として自分自身を苦しめることになります。筆者を見つめていたオオカミのまなざしがそれを語りかけ、教えてくれるような気がしたのです。
女子学院中は過去にも自然・科学と人間をテーマにした説明文・随筆文が多数出題されています。テーマの主題、筆者の論じていることを正確に読み取っていきましょう。
大問2 物語文 出典は標野凪『桜の木が見守るキャフェ』から。
麦は今が芽吹きのときを迎え、次の季節のための準備をしています。もちろん葉を落としたわたくしも同じ。ここでは、カフェを営む緋桜と、そこを訪れる人々との交流を描いています。使い手に心から満足してもらえるバッグをつくるため、対面販売にこだわっていると言う可奈は、カフェのお客様に出すお茶やお菓子に気をつかう緋桜のもてなしも同じだろうと言います。そこまでできているかと不安そうな緋桜。大丈夫、ちゃんと出来ていますよ。わたくしは見ていますから。
問5可奈のセリフ「贈り物として選ばAれる方は、自分が使うもの以上にあれこれ悩Bまれるんです。相手のことを想像し、どんな場面でどんな風に使うか。どんなものが喜ばCれるかって。それは私が面と向かって出会うのと同じ。相手のことを理解した上で選んでくださっているんです」について、A~Cの「れる」の説明を選択肢から選びます。
問7「わたくし」とはなにものか、十字以上十五字以内で説明します。
女子学院中入試での物語文の出題は2013年以来なんと12年ぶり。文章には直接書かれていない内容を、文章を読み取って推測して答える問題が出題されました。「わたくし」は葉を落とし、緋桜とカフェを温かく見守っている存在です。みなさんもぜひ考えてみてくださいね。(佐藤)