試験時間50分 満点85点
随筆文1題 8問 解答形式 字数制限あり
大問1 随筆文 出典は石井美保『石畳の小径』から。
石畳の小径を歩くと、サトウキビ畑が目の前に広がります。「ここは水田だったんです。」「戦争の時は田んぼから骨が出てきた。」筆者は案内者の語りを通じ、のどかな現在の「豊かな日常」と「悲惨な戦争」という過去の重層的な記憶に出会います。当事者ではない自分には、過去を完璧に言葉にする限界があると自覚しつつも、ここで継がなければ消えゆく記憶を注意深く書き留めようとします。伝えられた言葉はきっと、それぞれの人の感情や記憶を織り込み、広がっていくことでしょう。宛先のない祈りのように。
問4では、「書き留めてみたい」と筆者が思う理由を50字程度で説明します。
問6では、「宛先のない祈りのように」には筆者のどのような思いがこめられているかと考えられるか、受験生自身の考えを50字程度で述べます。
歴史の当事者でもなく、親族でもない自分が、その記憶を言葉にすることには限界があります。事実を完璧に再現することはできないし、語り手の経験そのものを完全に理解することも不可能です。それでも、筆者は「書き留めてみたい」と願います。そうしなければ、あの場所で受け取った大切な言葉も、人々の生きた痕跡も、泡のように消えてしまうかもしれないから。案内してくれた語り手たち、そしてその背後にいる、いまは亡き多くの死者たち。それだけではなく、いま隣にいる身近な人、そして自分が去った後の未来の世界を生きる、まだ見ぬ誰かへ。自分が書き留めた言葉が消えることなく、未来の人たちにも語り継がれ、同じ過ちを繰り返さず平和であってほしいという筆者の願いが読み取れる随筆文でした。
私たちが普段何気なく通り過ぎている道や、旅先で眺める美しい景色。その奥にある「もうひとつの時間」に目を向けてみると、新たな発見があるかもしれませんね。
以上、お読みいただきありがとうございました。今年度の開成中国語は、文章1題のみでしたが、設問では意味段落分け、記号問題、字数制限のある記述が出題され、解答をまとめるのに苦労した受験生が多かったのではないでしょうか。
今後もさまざまな国語文章に触れ、学習に取り組んでいきましょう。(佐藤)