日本にはたくさんの私国立中学校があり、世界では日々たくさんの本が出版されています。その中で、同じ本の文章が複数の中学校で出題されることがあります。
エクタス生にかかわりの深い御三家中学の問題では、桜蔭中・武蔵中で出題された中脇初枝さんの『神に守られた島』、開成中・海城中・香蘭女学校中・豊島岡女子中で出題された松村圭一郎さんの『うしろめたさの人類学』、桜蔭中・香蘭女学校中・淑徳与野中で出題された山極寿一さんの『ゴリラからの警告 「人間社会、ここがおかしい」』が複数の学校で出題されています。
私もその中の一冊、『ゴリラからの警告 「人間社会、ここがおかしい」』を購入して読みました。
筆者の山極寿一さんはゴリラ研究の第一人者で、京都大学の総長をなさっている方です。サルやゴリラの研究から、人間という動物の原点を推測し、現代日本社会のトラブルは、人間が備えている特徴の由来や本質を誤解することから生じているのではないか、と警告を発してらっしゃいます。
『うしろめたさの人類学』もまだ入試問題の範囲でしか読んでいませんが、現代社会の人間関係に対する問いかけがなされています。そして、その疑問に共感した中学校の先生が多かったからこそ、複数の学校で入試問題として出題されたのではないでしょうか。
『ゴリラからの警告 「人間社会、ここがおかしい」』は毎日新聞のコラム「時代の風」の連載をまとめたもので、一つ一つの文章が短く、勉強の合間に読むのにもおすすめです。ただし、桜蔭中・香蘭女学校中・淑徳与野中志望の方がお読みになると、過去問演習のときに正確な実力の判定が難しくなるのでご注意を。