今年の筑駒の入試問題でニホンジカに関する問題が出ていました。
まず、ニホンジカが全国的に増えていて深刻な問題になっている、ということがグラフで示されています。そして、奈良県の大台ヶ原の東大台という山地の写真が紹介されています。その写真を見ると、枯れた大木や今にもたおれそうな針葉樹がまばらに写ってます。かつては鬱蒼とした針葉樹の森であったのですが、今はその面影がまったくない状態でとても森であったとは思えない姿になっています。その大きな原因がニホンジカの増加によるものであると問題の中で説明されています。シカは草食の動物で、下草や樹木の皮や若い樹木の芽、はては農作物も食べてしまい、いろいろと環境を荒らしてしまうからです。この後、入試問題は森林の再生についての問題、シカの増加によって起こることなどを考える問題、グラフからわかることを考える問題などにつながっていきます。
2020年の灘中の入試問題でも同じようにニホンジカをテーマにした問題が出題されています。筑駒と同じようにシカによる被害やシカが増えた理由を問う問題も出ていますが、さらに踏み込んで、捕獲して数を調整するための計算問題も出ています。一段階、難度が高い問題になっていますが、興味がある人は一度挑戦してみるのもいいでしょう。良い勉強になると思いますよ。
今年はクマによる被害のニュースがとても多いですね。クマの個体数に関する調査はあまり進んでいないようですが、一説にはクマが増えすぎてしまい、山からあふれて人が住む町に出てきているのでは、とも言われています。入試問題にとりあつかわれる可能性も当然あるのですが、それは置いておいてもこのようなニュースに関心を持つことはとても大切です。シカやクマだけではなく、イノシシなどの被害も社会的な課題になっています。野生の動物を駆除するだけでは根本的な解決にはなりません。理科という視点から動物との共生とはどうあるべきなのか、自分なりに考えてみることはとても大切だと思います。せっかく皆さんは理科を学んでいるのですから、「怖いな~」とか「心配だな~」という感想だけではなく、科学的なデータや専門家の知見を調べたりしていろいろな可能性を考えてみてください。とてもよい学びとなるでしょう。また、野生動物がこのように人間の社会に被害を出すようになった問題の原因の一つには過疎化があると言われています。社会科の学習ともつながる奥深い問題です。いろいろな視点からこのような出来事を考えることは、君たちの思考を育てる一助となるのではないでしょうか。