雙葉中の理科の入試問題より

2022/9/15

エクタス理科より雙葉中

長かった夏休みが終わり、少し涼しくなってきましたね。
受験生の皆さんはこれまでの学習に加え、受験予定校の過去問演習や志望校別の対策など忙しい毎日を送っていると思います。

さて、本年の雙葉中の大問1では、昨年、海底火山である福徳岡ノ場の噴火により噴出した軽石が、沖縄・奄美地方などに大量に漂着し、その後本州の南岸や伊豆諸島にも漂着したことを取り上げた問題が出題されました。この噴火は火山の爆発規模の大きさを示す「火山爆発指数(VEI)」が4に相当するもので、戦後の日本の噴火では最大級の規模であったことが言われています。
噴火の種類は大きく分けると3種類あり、過去にはその特徴を分類させる問題が中学入試で出題されたこともあります。その3種類は「水蒸気噴火」「マグマ噴火」「マグマ水蒸気噴火」です。
地中深くの岩が溶けてできたマグマが地表に出てこようとするのが噴火の基本的な考え方です。岩が溶けたマグマは温度が高いため(また液体になっているため)周囲の岩石や土砂よりも密度が小さく、軽くなっていますので地表に向かって上がっていきます。地表から数キロ~数十キロのところでマグマだまりをつくり、さらに上昇することで噴火が起きます。
「マグマ噴火」はマグマが地表に吹き出てくる噴火です。マグマ噴火はマグマの粘性などで細かく分類すると更にいくつかの種類に分かれますが、マグマが地表に吹き出る際に爆発が起こることがほとんどのため、溶岩や火山砕屑物が大量に噴出され、大規模な噴火になることが多いです。火山弾による被害、火山灰による被害、噴煙、火砕流、溶岩流などが発生することが多いです。
「水蒸気噴火」はマグマの熱によって地下水が水蒸気になることで噴出する現象です。水が水蒸気になると体積が1700倍になりますので、水蒸気爆発による噴火と言えます。地下水とマグマが接すること無く起こる噴火なので、規模は小さいことが多く、マグマが流出することは無く、火山灰の噴出や火口付近の岩石が吹き上げられることが多いです。
「マグマ水蒸気噴火」はマグマだまりの上部でマグマが地下水と接触することで水蒸気爆発を起こし、マグマと共に噴出します。大量の水蒸気が急激に発生しますので大爆発を伴った噴火になることが多いです。
いずれにせよ規模の大きい、小さいに関わらず、噴火はとても危険なことであり、2014年に起きた御嶽山の噴火は水蒸気噴火で規模は小さかったものの、多くの犠牲者を出してしまう結果となりました。

このような被害を小さくするために、気象庁が「噴火警戒レベル」というものを運用しています。火山の活動の様子を観察し、火山をレベル1~5まで分類し、防災対応を促します。
レベル1 活火山であることに留意
レベル2 火口周辺規制
レベル3 入山規制
レベル4 高齢者等避難
レベル5 避難
というように設定がされていて、中学入試の理科でもこれらのことは出題されています。

今回は火山に関する内容でしたが、地震や台風などといった自然災害に対する防災への取り組みは、中学入試の理科で近年出題されることが多くなっています。
防災に対する取り組みに意識を向け、普段から考えながら行動をすることが防災だけではなく入試問題への対策となります。
みなさんが問題を解いていく中でこのような問題に出会ったときには、どうすれば良いか、自分だったらどのように行動をするか、といったことを考えながら問題を解いてください。

頑張れ!受験生!

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