2014渋谷教育学園幕張中 入試 理科 講評

2014/1/28

エクタス理科より

大問1[化学:水溶液の性質]

 渋幕の化学では濃さや中和、気体発生量のグラフや表を読み取った上での計算問題が多く出題されるのが特徴です。今回はとてもオーソドックスな水溶液の分類に関する問題でした。実験1~実験5までをきちんと整理すればすべての水溶液を分類することができます。ミョウバン水溶液の出題が新しいですが、これについての知識が無くても解くことができるようになっています。


 


大問2[生物:花の分類]


 渋幕の理科では、カラー写真を利用した出題がほぼ毎年見られます。その中には生物の写真をもとに、比較し考えさせる問題が見られます。近年の出題としては、昆虫、水中の生物、貝殻などがそれにあたります。細かな知識、その応用を問うことが多い渋幕の生物ですが、今年の出題は特徴的な花でした。その多くが、カラー写真から特徴に気づくことができれば解答を判断できる問題であったといえます。記述で出題された頭花の利点についてはしっかりと正解したい問題です。


 


大問3[地学:太陽の動き]


 渋幕の地学では、天体、気象、地形、宇宙といった様々な単元から問題が出題されます。特徴としては、図や表、グラフを正しく読み取れるか(もしくは選択できるか)、読み取った情報をきちんと整理し、利用することができるかどうかという力を問われます。また、文章に適する語句を記入もしくは選択する問題が多いことも特徴の1つです。今回は日の出、南中、日の入りの時刻、昼の長さの表を読み取って答える問題です。与えられた大量の情報から、必要な情報を見抜き、加工し、求められていることに解答できるかどうかがポイントでした。表の数字をきちんと整理すれば答えられる問題ですので、確実に得点を取りたい問題です。


 


大問4[物理:音]


 渋幕の物理では、力学、運動、電気、磁石などのやや難易度の高い計算問題が多く出題されます。実験結果を読み取り、表やグラフで与えられる数字を用いての計算問題が出題の中心です。今回は、雷、拍子木の反射音、メトロノームとスピーカーを用いて音速を計算する実験問題と、ピストルとストップウォッチを用いて音速を測定するときに誤差が生じる理由を答えるものでした。問題文を読めばどの実験もどのような計算をすべきかがはっきりと見えてきます。例年と比べるとどの計算問題も演習したことのあるレベルのものにとどまりましたので、難易度はあまり高くありませんでした。ここで失点をせず、確実に得点しておきたい問題です。


 


 


 


 渋幕の化学では、例年難易度の高い計算問題が出題されることが大変多いです。化学の計算問題に関してはきちんと練習を積み、どのような問題が出題されても確実に答えまでたどり着ける力をつけておく必要があります。中和反応の計算、金属と水溶液の計算で終わりにせず、中和反応によって余った水溶液と金属がどのように反応するのかなど、一つ上の段階の学習までしておく必要があります。ただ、今回のように計算問題がない場合、難易度があまり高くない知識問題です。特に水溶液、物質の分類に関する問題が多く出題されますので、幅広く知識を身に付けておく必要があります。


 渋幕の生物の問題には、生物を比較し、類似点、相違点を考えさせる出題方法と、テーマをひとつにしぼりこんで、深く掘り下げて考えさせる出題方法とが見られます。テキストに出ている基本的な知識に関しては当然ですが、それ以上にその問題に対応するためには、知識のつめこみ学習ではなく、仕組みや原理、理由もあわせて理解し、記述できる程度の力を養っておきましょう。妥協のない学習が得点に結びついていきます。


 渋幕の地学では様々な単元から出題がされますので、まんべんなくすべての単元の基本をしっかりと身に付けておく必要があります。図についてはあまり見慣れないものも多く出題されます。過去の学習内容から類推されるものと結びつけていかないと解答することがままならないものもあります。また、表やグラフは情報量が多いことも特徴です。この情報の中から必要な情報を読み取れるかどうか、また、与えられた情報からグラフの形のイメージができるかどうかなど、多角的な攻め方をしてきます。まずは基本的な図、写真、グラフを確実に、それをもとにして次のレベルのことを考えられるようにしていくと効果的な学習となるでしょう。表のデータを自分で大まかなグラフとして表すことなど普段の学習では行わないことでしょうから、表を見るだけの学習から、グラフのイメージを膨らませる練習につなげていきましょう。


 渋幕の物理では力学、運動、電気の単元から難易度の高い計算問題が出題されます。また、見たことも無い内容を題材(近年ではワゴンホイール効果)にし出題することもあります。この場合、情報をリード文から読み取り、計算し、解答を導き出させます。このような問題こそが「真の理科力」を問う問題であると考えます。試験会場で試行し、思考し、解答にたどり着くことができる。この理科力を持つ生徒を見つけ出し合格へ結びつけるための問題であると考えます。これらの問題を恐れず、ぶつかり得点を勝ち取るためには、しっかりとした基礎力、そして数多くの問題に取り組み養う応用力。それことが必要です。パターンごとの丸暗記学習ではなく、原理原則を理解した上にあるさらなる高レベルな問題への取り組みが大切です。表やグラフ、文章から条件を整理し、数値を拾えるような訓練を積むことが得点への近道と考えます。


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