桜蔭中の理科の入試問題より

2016/12/26

エクタス理科より

 今年も残りわずかとなりましたね。寒い日が続いています。受験生のみなさん、勉強はもちろんですが体調管理も万全ですか。今年の冬は日によって気温や湿度が大きく変化することが多いようです。病気にかからないことももちろんですが、急な寒さや暑さにも対応できるように備えましょう。


 


 さて、桜蔭の入試問題の紹介です。2016年の入試では、植物の成長ホルモンがどのように移動するかが問われました。師管を切り取る(冠状除皮といいます)とそれより先にホルモンが移動せず、花芽が形成されなくなることを観察、考察する実験観察問題でした。


みなさんの身体と同じように、植物の体の中では様々なホルモンが形成され、植物の生長や体の変化に影響を与えます。有名な植物の成長ホルモンをいくつか挙げていきます。


 


オーキシン


 一番最初に成長ホルモンとして発見された物質です。植物は太陽の方向に伸びていきますね?このことに最も関係が深いホルモンです。実はオーキシンは光が当たると死んでしまいます。だから結果的に・・・この続きは自分で考えてみてください。


 


ジベレリン


 日本人が発見した唯一のホルモンです。主に発芽や開花の促進をします。


 


サイトカニン


 細胞分裂や気孔が開くことに関係するホルモンです。植物を切断したときに切り口を治癒させることから発見されました。


 


アブシジン酸


 種子の休眠維持や気孔が閉じることに関係するホルモンです。オーキシンの成長促進作用を阻害するはたらきがあります。


 


エチレン


 植物の老化を促進させます。果実が熟することなどがこの一種です。


 


このように、様々なホルモンの影響で植物は生長し、開花、結実をし、一生を終えます。いろいろな条件が重なることで様々なホルモンが分泌、抑制され、それらが組み合わさることで条件に適した時期に植物が生育することになります。


 


植物の成長ホルモン(タンパク質)の問題で最近流行の問題を一題紹介します。


 


問題文 植物は次々と新しい芽をつくり成長します。成長すると葉になる芽を葉芽といい、花になる芽を花芽といいます。ある時期になると、植物は葉芽ではなく花芽をつくるようになります。花芽は4つの区域に分かれていて、下の図のように区域1にはがく、区域2には花びら、区域3にはおしべ、区域4にはめしべができます。花芽の各区域が花のどの部分になるかは、アブラナ科のシロイヌナズナで詳しく調べられていて、花の形成には、3種類のタンパク質a、b、cが深く関わっており、このタンパク質の働きによって決まります。正常な花と比べると、これらのタンパク質が働かない場合、異常な花になります。表は、正常な花について、花芽の区域、働くタンパク質、花のどの部分になるかの関係をまとめたものです。


 


  正常な花

























花芽の区域











働くタンパク質





a、b



b、c





花のどの部分になるか



がく



花びら



おしべ



めしべ



 


問 もし、タンパク質bが働かなかったら、花芽のそれぞれの区域はどうなるでしょうか。表のア~エにあてはまる言葉をそれぞれ答えなさい。



  異状な花(タンパク質bが働かないとき)


















花芽の区域











花のどの部分になるか











 


 


花芽で働く3種類のタンパク質のうち、タンパク質aが働かないとタンパク質cが働き、タンパク質cが働かないときはタンパク質aが働きます。下の表は、タンパク質が正しく働かないため異状な花になったときのようすを示しています。


 


  異状な花(タンパク質aが働かないとき)


















花芽の区域











花のどの部分になるか



めしべ





おしべ



めしべ



 


異状な花(タンパク質cが働かないとき)


















花芽の区域











花のどの部分になるか



がく









 


問 タンパク質a、あるいはcが働かないときの異常な花の表ア~エにあてはまる言葉をそれぞれ答えなさい。




 


答えはのせません。


興味がある人は自分で考えてみて下さい。


 


 


 


受験生のみなさん、いよいよ最後の追い込みの時期ですね。



体調管理は万全に、自分の限界を超えられるよう努力を重ねましょう。



頑張れ!受験生! 


 


 


 


 


 


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