11月15日から、東京で第25回夏季デフリンピックが開催されています。デフリンピックとは聴覚に何らかの不自由がある選手のための国際オリンピックであり、実はパラリンピックよりも長い歴史を誇るスポーツ大会です(第1回デフリンピックは1924年のパリ大会、第1回パラリンピックは1960年のローマ大会)。
日本で開催されるのは今回が初めてで、多くの日本人選手の活躍が期待されています。また、「オリエンテーリング」というオリンピックやパラリンピックにはない珍しい種目もありますので、生徒の皆さんもぜひ注目してほしいと思います。
さて、耳が不自由な人とのコミュニケーションツールにはどのようなものがあるでしょうか。
真っ先に思い浮かぶのは「手話」ですね。
日常生活で手話を見かけたことがない人も、公的な記者会見やNHKの手話ニュースなどで1度は見たことがあるのではないでしょうか。手話は国によって異なるため、デフリンピックのような国際的な行事では「国際手話」と呼ばれる手話が使われ、専門の通訳がコミュニケーションを手助けしています。
実は手話が言語として公的に認められるようになったのは近年のことで、国連で手話を言語として規定する内容を含む障害者権利条約が採択されたのは2006年のことでしたが、現在では日本を含む多くの国で言語として、あるいは公用語として規定されています。
聴者(耳が不自由ではない人)が手話を学ぶ機会は決して多くありませんが、簡単な挨拶ややりとりであれば動画サイトなどで調べることができます。
また、女子御三家の1つ、雙葉中学校には手話を学べる「手話の会」というクラブ活動がありますので、興味のある人はぜひ文化祭に足を運んでみてほしいと思います。
しかし、手話によるコミュニケーションには難点もあります。
まず、耳が不自由な人の全員が手話を使いこなせるわけではありません。例えば、生まれつきもしくは幼少期から耳が不自由な人は、学校で手話を学ぶ機会が得られることが多いため身につけやすいとされていますが、成人してから病気や事故などで耳が不自由になった人にとっては多大な労力を必要とするものになります。
また先述の通り、聴者が手話を学ぶ機会が少ないため、急に手話でやりとりをしようとしてもうまくいかないことが多いでしょう。
それでも、筆談や指文字、読唇(唇の動きを読み取ること)や指差し、表情の動きやジェスチャーなど、さまざまな方法を使ってやりとりすることは可能です。
先述の手話ニュースでも、アナウンサーが唇を大きくゆっくり動かしたり、暗いニュースと明るいニュースで表情を大きく変えていたりと、手話だけに頼らない工夫が凝らされています。また、最近ではコンビニや飲食店で、指差しでやりとりをするためのボードが用意されていることが増えてきていますし、スマホのメモ機能や文字起こし機能を使えば筆談も簡単にできます。
大切なのは、伝える方法がない・わからないから諦めるのではなく、どんな方法を使っても伝えようとすること・受け取ろうとすることです。
そして、それは障害の有無や言語の違いに関わらず、他者とのやりとり全般において、もっとも重要なことだと思います。
これから先、さまざまな人と出会うであろう皆さんには、ぜひ覚えておいてほしいと思います。