2021年の入試が終わり、新学年の授業が始まりました。新4年生のみなさんは4科目の学習にそろそろ慣れてきましたか?これから3年間、最難関校を目指すための勉強を楽しみながら続けていくためのヒントを、お話ししたいと思います。
今年の最難関校の社会科では、「食」をテーマにした出題が複数の学校で見られました。また、それ以外でも「自転車」「マスメディア」「色」など、受験生にとって身近に感じられ、読み進めやすいテーマが選ばれています。実際、受験を終えたばかりの生徒に印象を尋ねてみると、「問題は難しかったけれど、読みやすかった」「取りかかるのが楽だった」という返答がありました。しかし改めて問題に目を通すと、机の上だけの勉強では太刀打ちできないような仕掛けがいくつも見つかります。麻布で出題された「郷土料理とご当地グルメの違い」はその代表と言えるでしょう。各地の郷土料理を掲載している地図帳は多いですし、郷土料理の名前と地域の組み合わせなどは、桜蔭をはじめこれまでの入試でもたくさん出題されているので、いくつかは憶えている生徒は多いと思います。しかし、今回の麻布の問題を解くためには、「なぜ改めて料理を開発する必要があったのか?そこまでするだけの理由は何なのか?」「郷土料理に比べ、万人受けしそうなメニューが多いのはなぜなのか?」といったことを自ら考える必要があります。教材に載っていることを記憶するだけではなく、また目先の模試や小テストの点数だけにとらわれない、学ぶこと・考えることそれ自体を楽しみ、習慣づけてこられたかどうかが問われているということですね。
とはいうものの、今後限られた時間の中で、全てのものに対して興味を持ち、考えたり調べたりするのは困難です。皆さんができる最も手軽な方法としては、「自分が一番好きなテーマを選び、その中からさらに一番面白そうなものを見つけ、本を読んだりインターネットで調べてみる」ことでしょう。その一例として、多くの生徒さんに人気がある戦国時代に関連した本として、「戦国、まずい飯!」(黒澤はゆま著、集英社インターナショナル発行)を紹介します。戦国時代に食べられていたとされる食品・料理を著者自ら再現し、さらにさまざまな文献や研究を紹介し、解釈がされているものなので、戦国時代に関心がある子もそうでない子も楽しめると思います。例えば「牛肉」の章では、戦国時代における牛肉料理を再現し、調理方法や日本の肉食に関する文献が紹介されていますが、その中の「天武天皇が、牛・馬・犬・猿・鶏を食べることを禁じた」命令は、今年の筑駒のリード文にも取り上げられています。また、「なぜ、家畜の中でも、牛と馬を食べることに対するタブー意識が特に強かったのか」といったことにも考察が加えられており、ただ単に「日本では、明治時代になるまで、肉食が一般的ではなかった」と憶えるよりもずっと深く、幅広く理解が進められると思います。
学ぶことそのものを楽しもうという姿勢は、最難関校に入学した後にこそ求められるものです。合格を勝ち取るだけで終わらず、その後の6年間を充実した時間にするために、机の上の学習から1歩踏み出して考える習慣をつけていきましょう。
見られているのは『興味の幅を広げる力』
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