ここ数年と比べ,本年も大きな傾向の変更はありませんでした。
本年は大問3の構成でした。
1 平安末期から江戸時代までの武家政治についての出題
2 明治時代から昭和時代までの政治史や産業史
3 公害問題や人口問題についての文章から公民や地理の出題
ここ3年ほどは大問2つが続いていましたが,本年は2010年度以来の大問3つでした。しかし,トータルの問題数は,例年50題~60題の間で推移していますので,本年も昨年までと同様の問題数と考えてもいいと思います。
難易度でいうと例年並みでした。非常に易しい問題が多く合格者平均点は61.8点でした。
2014年度(本年) … 61.8点
2013年度 … 61.3点
2012年度 … 53.5点
2011年度 … 57.2点
2010年度 … 64.2点 すべて70点満点
このデータからもわかるように,本年は例年非常に高い平均点で推移している中でも2010年度に次ぐ易しさであったといえます。
本年の問題数は61問でしたが,その中で応用的な知識を必要とする問題は4問だけです。この4問もけっして難問というわけでなく,開成中を受験する子ども達であれば知っていても不思議はない問題ばかりです。
出題形式としては,用語を答えるパターンと記号を選択するパターンが全体のほとんどです。記述問題については,本年は単文記述が1題だけでした。それも武家政治以前の征夷大将軍の役割を答える問題で,坂上田村麻呂をイメージ出来れば難なく正解を書けるはずです。
開成は地理と公民で,データを分析する問題がよく出題されます。年々易しい分析問題にはなっていますが,本年は人口増加率を計算で出す問題が出題されています。また人口予測のグラフを年代別に並べ替える問題は少し考えなければならない問題だったかもしれません。
また,本年度の渋谷幕張でも出題された「都道府県章」も出題されています。昨年いろいろな学校で出題されたいわゆる「ゆるキャラ」もそうですし,地方分権がさけばれている昨今の傾向になるのかもしれません。最難関校が出題したことから次年度以降その他の学校にも影響を与えるかもしれません。もちろん,ゆるキャラ・県章ということではなく,地方分権という意味で。
そういう意味では,最近あまりみかけなかった第一次産業などの「産業別就業者」の各割合を答えさせたり,「アイヌ文化振興法」のような法律を答えさせる問題もありましたが,これは影響は薄いかもしれませんね。
最難関校としては考えられないくらいの易しい問題ですが油断は禁物です。満点を狙う覚悟で臨まないと合格者平均には届きません。ミスしたほうが負けになってしまいます。
基本的な知識は確実に定着させるとともに,幅広い知識に目を向けることによって,失点を最小限に抑える学習が必要になると思います。