今年もこれまでと同じく大問3題という構成でしたが,出題分野の順番が変更となっています。
〔1〕この100年間の年表をもとにした近現代史の問題
〔2〕富岡製糸場をテーマにした地理・歴史の総合問題
〔3〕核と原子力をテーマにした総合問題
2012年までは地理・歴史・公民の順番でしたが,昨年は公民・歴史・地理となり,今年も上記のように変わりましたので,今後は毎年シャッフルしてくるのかも知れません。
今年の大きな特徴は,まず歴史分野がすべて明治時代以降から出題されている点です。〔1〕はすべて近現代史,〔2〕でも富岡製糸場に関する出題が3問,〔3〕でも広島・長崎への原爆投下について問われていて,全体的に見ても50%以上が近現代史からの出題です。しかも,本文中に手がかりがあるとはいえ,戦前の普通選挙法では日本に在住する台湾・朝鮮の男性にも選挙権があったことや,イラクへの自衛隊派遣は戦争中ではなく戦後の復興支援であってPKOではないことなど,発展的な内容にまでふれた問いもあり,受験生にとっては手強かっただろうと思われます。また,筑駒の社会特有の正誤判断問題の選択肢も,受験生がいかにも引っかかってしまいそうな紛らわしいものが目立つので,全体的に得点が伸びなかったのではないかと推測されます。
時事的な要素も随所に盛り込まれています。〔3〕では本文を参考に「国際原子力事象評価尺度」について問う適文選択問題や,福島第1原発廃炉への工程表を問う並び替え問題が出題されており,〔2〕でテーマとなった富岡製糸場(世界遺産登録に向けた審査が最終段階)と合わせ,日ごろの社会への関心や接し方についても試されています。
問題数は小問単位で数えて20問と少なく,1問あたりの配点が高いと予想されるため,基本レベルでの取りこぼしや,本文や問題文の読み落としによるミスは命取りとなります。したがって日ごろの学習では,正誤判断や適文選択,並び換えなどの出題傾向を意識しながら,自分の誤答の原因を一つ一つ丁寧に確認し,力を伸ばしていく姿勢が大切と言えます。