さて、受験シーズンが終わると塾では新学年が始まります。今まで継続して通塾していた方々も、学年が上がることで、曜日や時間の変更があったり、内容が進むことで要求レベルが一段上がったり、と諸々大変な時期です。入試結果の報告などからも、うちの子はこのままで大丈夫なのだろうか…と不安になりやすい時期でもあります。また、新しく塾に通い始めたご家庭に関しては、新しいことばかりで、あわただしく一週間が過ぎていることかと思います。
成績が思うように伸びないとき、様々な策を講じたくなるかもしれませんが、よくよく見てみると、「きちんと授業を聞く」ことが身についていないことが原因であることは案外多いです。今回はその「授業を聞く」ことに関して書いてみようと思います。
保護者の方が、お子さんに対してよく話しかけている言葉に、「あなた、ちゃんと授業を聞いてるの?」というものがあります。この言葉を発してしまうお気持ちは十分に理解できますが、この問いかけは今後一工夫していただきたい部分です。
なぜなら、この問いかけにお子さんは「No」とは答えませんよね。答えたらどんな修羅場がその後展開されるかはどんな子供でも予測できるからです。そして「Yes」という言葉を引き出したとしても、それは何の言質にもならないのです。
実のところ、子供たちは「授業を聞いている」と思っています。ですが、「聞いている」の定義が不明確であるが故に、こちらの求める「聞く」のレベルでは聞けていないことがほとんどです。
小学生の時に歯を磨いた後に口にいれると、磨き残しが真っ赤に染まるテスターのようなものです。本人たちはちゃんと歯磨きしたつもりなのに、テスターで確認すると口の中が真っ赤でびっくり…のあれです。
四角いテーブルを丸く拭く…などという言い方もありますが、本人が自覚していない、という点ではこの例は少し異なるかもしれません。
因みに「聞く」ことができていない生徒は、こんなことでも発見できます。
例えば、授業中に一通り説明を受けた上で、演習をはじめるといった場面で、先生が「○○ページの△△番と□□番をノートにやってね!」と発信したとしましょう。聞くことができている生徒は、さっさと該当する問題に印をつけ、どんどん解き進めます。
一方で聞くことができていない生徒は、先生が話している間はぼーっとしている(音は聞いている)、みんなが動き始めると「えっ?何?」とか「どこやるの?」とかそのような様子が見られることが多いです。中には堂々と異なる問題を解き出す生徒もいます。
この発問を聞いていないのであれば、すぐに実害が顕在化するのでこちらも対応をとれますが、このような生徒は今回だけ聞いてない訳もなく、おそらく授業内の肝心の説明も聞けていないことが予測されます。
もちろん、エクタスとしてはそういうことは担当側としてもわかっており、正しく「聞く」ことができるように指導もしていきます。大手の塾に比べ、エクタスでは生徒たちとのディスカッションが多いのもそのためです。実は、正しく「聞く」ためには、自分から「話す」必要があるのです。双方向のコミュニケーションをもって「聞く」が初めて成り立ちます。この能力の先に御三家をはじめとする最難関中学の入試対応力があるのです。
ですが、この正しく聞く能力の習得が難しいのは、なかなか学校ではその機会が持ちにくいことや、さらにお子さんの周囲に自分よりも目上の人が多い場合、周りの大人が手助けしてしまうことも一因です。
また、エクタスといえども少数ではありますが集団授業を行うので、ご本人が受け身の姿勢を崩さなければ、この「聞く」力はなかなか改善しません。
算数に限らず、多くの塾で基本的には、授業→家庭学習→チェックテスト、の流れで学習が進みます。このチェックテストの得点は「聞く」ことがおろそかでも、家庭学習のやりようによってはそこそこの結果を出すことが可能になります。ですが、そのような動きで数値結果を出すことを覚えてしまうと、本来身につけるべき「聞く」力を身につける時期を逸することになります。
さて、ではご家庭ではどのようにすることでこの「ただしく聞く」力を育成することができるのでしょうか。一番は、お子さんに「Yes」「No」で答えられない質問をする、です。
例えば、授業を聞いているか知りたいときは
→「今日の授業で何を習ったか私に教えてくれる?」
「今日先生がどんなことに注意しないといけないと言ったか私に教えてくれる?」
と聞いてみることがおすすめです。はじめは単元名程度しか言えないかもしれません。難しいときは、授業ノートを見ながらでも言わせてみてください。逆に言えば、授業ノートを見ても何も言えない場合、それは「何も聞いていない」と同義であり、この状況で家庭学習を始めることはおすすめできません。
※一般的に授業が上手な教師ほど、当日のポイントをあとから言語化できるように発信しています。
また、最初から上手く言えないと思いますので、その場合は「来週は私に教えてくれるように聞いてきてね!」と言ってみるのも良いでしょう。そういったやり取りを経て、「きちんと聞く」ことが身についていくのです。
せっかく長い間塾に通うのですから、この時期に「きちんと聞く」を身に着けられるような意識づけはしておきたいですよね。授業を有意義なものとし、合格に向って邁進しましょう!