今回は2023年度入試の中から栄光学園の大問2について取り上げてみます。
大きさが1cm3の小立方体を 3×3×8=72(個)重ねた直方体を3回切断し、その結果について考える問題です。
切れない小立方体の個数と、大きさが1cm3未満の立体の個数を求める問題です。
3回の切断に関しては、どれもシンプルで(切り口はどれも長方形)、この点に関して悩む受験生は皆無であったと思います。一般的に小立方体が何個切られるかに関しては学習済みだと思いますが、【1】複数回切断と融合したこと、【2】小立方体が何個に切断されているかを考えること、がこの問題を難しくしています。特に【2】の要素に関しては普段からきちんと物事を見て考えているかどうかの習慣の差も大きかったことと思います。
算数が好きな生徒に理由を聞くと、「答えが1つに決まってすっきり」という意見が上位に来ることは周知の通りかと思います。この問題も回答は最終的に1つに決定しますので確かにその通りかもしれません。ですが、一般的な「やり方を判断し」「計算を行う」問題と比較した際、この問題は明らかに別モノです。方針としては、指示された小立方体について「正確にていねいに数える」だけです(最後に総和を求める以外に計算式は不要)。そのたったひとつのことをやり遂げる課程の中に算数の多くのエッセンスが込められています。
…平面の図を書き正しい切れる線を書けていますか?
…切り口が混ざる部分を正確にイメージできていますか?
受験生にとっては、この問題を「捨てる」ことがクレバーな選択なのかもしれませんが、こういった問題で得点に差のつくレベルの受験生が集まっているという事実がこの学校の力を表しているのかもしれません。
指導者側の意見としては、こういった問題を見た際に「わくわく」できる生徒たちが少しでも増えて欲しいと思います。是非、自分で手を動かして考えてみてください。
ちなみに解答ですが、切れない小立方体は18個、大きさが1cm3未満の立体の個数は160個です。