中学受験算数では、約数・公約数の問題を小4で学習します。
約数とは、ある整数を割りきることのできる整数のことです。たとえば、24の約数は
1、2、3、4、6、8、12、24です。
公約数とは、2種類以上の整数に共通の約数のことをいいます。
16と24の公約数は、16の約数が1、2、4、8、16。24の約数が1、2、3、4、6、8、12、24ですから、公約数は1、2、4、8となるわけです。
このうち、最も大きい公約数のことを最大公約数といいます。16と24の最大公約数は8になりますね。
小4ではこのように、基本的には最大公約数を求めるときに、それぞれの約数をすべて書き上げて、共通でなおかつ最大な数を探すという解法を教えます。
しかし、この解法はそれぞれの約数をすべて書くのが面倒ですね。もっと楽な方法はないものか。
いきなり最大公約数を求める方法があります。片方の数の約数を大きい順に挙げ、もう片方の数を割っていくという方法です。
16と24であれば、片方の16の約数を大きい順に考えます。16、8、4、…
これを順に、24÷16、24÷8…と計算していって割り切れれば、それが最大公約数ということになりますね。この場合は24÷8=3で初めて割り切れるので、8が最大公約数ということになります。
この方法は約数を全部書き上げなくてもよいのですが、ひとつひとつ割り算をしなければいけません。計算が苦手な生徒はこれをいやがります。
実は他の方法もあります。いわゆる連除法と呼ばれる方法です。これを授業の前に予習をしてくる生徒もいます。これは、16と24の最大公約数の場合、両方を共通して割れる数を考え、割れなくなるまで割っていくという解法です。
(16、24)→÷2→(8、12)→÷2→(4、6)→÷2→(2、3)
ここで割れなくなるので、2で3回割れることがわかりますから、2×2×2=8が最大公約数という解き方です。
この方法も悪くはないのですが、この方法しか知らないと解きにくい問題が中学入試では多く出題されます。例えば
「637と1001の最大公約数はいくつですか。」
という問題です。連除法で解こうと思うと、まず共通で割れる数を探さなくてはなりません。ここで思いつかない生徒が多い。せいぜい7でわって91と143だからこれ以上思いつかずに最大公約数は7と答えてしまう生徒もたくさんいます。
しかし、これは637の約数を大きい順に、637、91、49、…と考え、
1001÷637、1001÷91、…とやると、1001÷91=11ですから、
最大公約数は91であるとすぐわかるわけです。
637と1001のどちらもわりきれる数を考えようとするよりは、637の約数だけを考え、それぞれが1001を割り切ることができるかどうかを調べた方がいいのですが、その発想ができない生徒の多くは、連除法しか解き方を知らない生徒たちです。
予習は必ずしも悪いとはいいませんが、場合によっては子どもの思考・発想をせばめかねないこともありますね。必ず授業でどのように教わったのかを確認していただけるとありがたいです。