「敬語」の使い分け

2022/12/1

エクタス国語科より

皆さんは、日頃から国語の授業で様々な言葉の知識を勉強してきています。「文法」と言われる言葉のきまりや、慣用句・ことわざ、さらに品詞の識別等々。そうした知識の中で、「敬語」は、大人でも使い方を誤ることがあるほど実は難しいものです。
敬語は、単に受験勉強で必要なだけではなく、将来社会人として独り立ちしていくときに正しく使えていないと周囲からの信用を一気に失いかねません。
敬語は大きく区分すると「尊敬語「謙譲語」「丁寧語」の三つあることは、小3以上の生徒であれば知っていますね。このうち、きちんと区別できなければいけないのは「尊敬語」と「謙譲語」です。
おそらく、小学校でも高学年の人は国語の授業で聞いていると思います。私も数年前に近隣の公立小学校の学校公開の際、6年生の国語で敬語を扱っている授業を拝見しました。その際、そのクラスの先生は「目上の人への敬意を表すのが尊敬語」「自分を下げて相手を敬うのが謙譲語」というような説明をされていました。決して間違っているとは言いませんが、そのクラスの生徒たちの反応を見ると、「わかったような、わからないような…」といった感じでした。
小学生でももっと簡単に使い分けられる区別の方法はないのか?
実は、簡単に見分けられる方法があります。それは、その動作・様子が「相手」のことなのか、「自分(身内)」のことなのか?を見るだけでいいのです。
たとえば、レストランで食事をしたとしましょう。注文された料理を運んできた店員は、客に対して「ごゆっくりお召し上がりください。」と言いますね。この時、その料理を食べるのは店員から見れば「相手」、つまり客が食べるのですから「召し上がる」という尊敬語を使っています。それを言われた時、皆さんはどう返事をしますか?まさか「ありがたくめしあがります。」などと答える人はいませんよね。自分が食べるのですから、「いただきます。」というはずです。学校で給食を食べる時にも、家で食事をする時にも「いただきます」と言いますね。この「いただく」は謙譲語なのです。
注意することは、自分以外に自分の身内(家族)のことを言う場合も謙譲語を使う、ということです。誰かが話したことを他人に伝える場合、話した相手が身内でなければ「○○さんがおっしゃったように…」と、「おっしゃる」という尊敬語を使いますが、自分の身内の言ったことであれば、「母が申したように…」と、「申す」という謙譲語になるわけです。
ちなみに、「お父さん」「お母さん」「お兄さん」「お姉さん」なども分類上は「尊敬語」になります。ですから、他人に自分の家族のことを話す時、「うちのお母さんが…」という言い方は誤った使い方で、正しくは「うちの母が…」と言わなければなりません。

残る「丁寧語」は
①名詞の上に「お」「ご」をつける。(「飯」ではなく「ごはん」、「茶」ではなく「お茶」)
②文末を「~だ。」「~である。」ではなく、「~です。」「~ます。」とする。
この二つだけです。特に「自分」「相手」に関わらない場合ですから難しくはありませんね。ただ、「お子様」のような言葉は使い方によっては変わることがあります。レストランで見かける「お子様ランチ」などの場合は、単にメニューの名前で「自分」「相手」に関係ないので「丁寧語」ですが、「●●さんのお子様」という場合は、明らかに相手(●●さん)の子どものことを言っているので「尊敬語」ということになります。

過去の入試問題を見ると、開成中では「アイスクリーム」という詩(童謡の歌詞)の出題で、「僕は王子ではないけれど、アイスクリームをめしあがる」という部分について、
①この言葉の使い方は正しいとは言えません。なぜ正しくないのか説明しなさい。
②では、あえて正しくない言い方をしたのはなぜか、考えて答えなさい。
という出題がありました。
また、桜蔭中や雙葉中では、会話文の中に正しくない敬語が含まれていて、その誤りを選び正しい敬語に書き直させるという出題もありました。
「敬語は難しい…」などと先入観をもたず、受験に向け、さらに今後の自分の成長のためにも正しい理解をしていきましょう。

最後に、受験生にとっては、まさにラストスパートの時。入試を目前に控えた今、体調管理にはくれぐれも注意しながら、残された時間も悔いのない使い方をして、合格を勝ち取ってほしいと思います。頑張れ!!

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