今年はコロナの影響で夏休みも短かった…という人も多いでしょう。あっという間に夏が終わり季節は秋に。早いもので、受験生には残り3ヶ月という時期になりました。夏休み中は気温も高い日が多く、「コロナだけでなく熱中症にも注意を!」などと言われていましたが、その暑さが終わったかと思うと、今度は10月初旬でも冬に近いような気温の日もあって、ここ数年そうですが、季節は「夏」と「冬」が極端になり、「春」「秋」の存在感が薄れているように思います。
毎年この時期のブログに『季節感』という同タイトルでブログを書いています。以前テーマにしたのが「季節感の喪失」でした。ただでさえ、生活環境の変化に伴い日々季節を感じづらくなっているところへ、気象条件もそれに拍車をかけるように人々から「季節感」を奪っている、そんな気がしてなりません。
そうした背景が元かどうかはわかりませんが、国語の入試問題ではそれがわからないと解きようがないという問題も出されます。たとえば、俳句の季語とその季節。以前、関西の灘中学では季語を12個並べて、「1月~12月の順に並べ替えなさい」という出題がありました。その中に「もちつき」という季語が含まれていたのですが、これは何月の季語か知っていますか?「餅は正月に食べるものだから1月でしょ?」って考える人も多いと思いますが、答えは12月です。最近は家庭で餅つきをする、というところもかなり少なくなっていると思いますが、昔は12月の末に餅をつき、それを鏡餅(円盤のような餅を三段重ねてその上にミカンを乗せる…というのは見たことがある人も多いでしょう)として飾り、新年を迎えるという風習がありました。従って「つく」のは12月ということになります。
また、「食欲の秋」などと言われるように、秋が「旬」というものもたくさんあるのですが、生産や物流の流れが進んだ現在はどの季節でも手に入ってしまうようになったため、大根の旬は?などと言われてもピンとこないのではないでしょうか。大根は冬が旬。ですから冬の季語としても使われることがあります。夏にミカンが、冬にスイカが手に入るようになった今では季節感を持つことが難しいのもうなずけます。
平成・昭和・大正・明治…と、時代が戻れば戻るほど、当時の人々はより「季節」に敏感だったのではないでしょうか。逆に言えば、時代が進むにつれて「季節」の移り変わりを感じにくくなっているとも言えるでしょう。
そんな時代だからこそ、日頃食卓に並ぶ食材一つにも季節に思いを馳せてほしいな…などと思います。