先日,「漱石の妻」という連続ドラマをNHKで視聴しました。漱石の作品は今までいくつも読みましたし,漱石にまつわる本もいろいろ読んできたので,自分としては作家・夏目漱石についてある程度知っているつもりでしたが,ドラマを通じて新しく知ったことも多く,とても楽しかったです。
漱石が今で言う「躁鬱(そううつ)病」で,気性の激しい人であったこと,子供たちは父・漱石を恐れていたこと,『吾輩は猫である』は,実際に夏目家で飼っていた猫を題材にしていたことなどは有名ですね。でも,奥さんがとても苦労していたことや,まだ読んでいない作品の成り立ちの背景など興味深いストーリーでした。テレビ番組ですからいくらか脚色されているとは思いますが…
皆さんもこのように「わかっているつもり」で,実はよく知らなかった…という経験が多少なりともあるかと思います。国語に限らず,算数・理科・社会の知識はもちろん,身の回りのちょっとした事象についても知っている「つもり」でいることは多いのではないでしょうか。
最近の国語科の入試問題を解いていくと,それぞれの中学の国語科の先生方がそうした盲点を突いたような問題を作成されているように思います。特に言葉や文法関連の知識は,大人でも「そうだったんだ…」と思うような出題が多くみられます。
そうした出題にいつでも対応できるようにするためには,確かな知識を身につけておくことは言うまでもありません。が,それがなかなか出来ないから,そうした出題で得点差がつくのも事実です。
そこで,みなさんにお勧めしたいことがあります。それは「辞書を読む」習慣です。辞書は,知らない言葉の意味や知らない漢字を調べるためのもの,と考えている人が多いでしょう。無論,辞書を作成するおおもとの意義はそこにあります。ただ,せっかく買った辞書をきれいなまま本棚に飾っておいて,気がついてみたらほこりをかぶっていた…などというのではもったいない気がしませんか。
寝る前にパッと開いたページだけ読んでみる。国語辞典でも漢字辞典でも,ことわざ辞典でもなんでもいいのです。ちょっと読んでみただけで「この言葉にはこんな意味や用法があったんだ…」「この漢字はもともとこういう意味だったのか…」等々,新たな発見が多数あると思います。また,そういう時に見たものほど,日ごろの宿題の意味調べなどで見たものよりはるかに自分の頭の中に定着させられるものです。
受験生に求められる力には様々なものがありますが,もっとも大切なのは「なぜ?」と思える力だと私は思います。歴史にも名を残すような有名な学者たちは例外なく「なぜ?」のスタートラインから研究を始めていったはずです。みなさんも「当然知っています」で終わらせることなく,確かな知識を身につけるために新しい習慣を始めてみませんか?