アンダーマイニング効果をご存じでしょうか。
こんにちは、池袋校の荒井です。前回のブログでは「あなたを動機づける方法」について、教室での事例を交えて書かせていただきました。その中でも内発的動機づけは大きなプラス効果が確認できることを紹介させていただきました。ところが、内発的動機づけをキャンセルしてしまうと言われるアンダーマイニング効果には気を付ける必要があります。特に保護者の方と共有させていただきたい効果です。
以下のようなご褒美を与えたことはありませんか。
・プリントがすべて終了したら、親が子に本を買い与える。
・良い成績をとったら外食に連れていく。
・何かを達成したら、お小遣いを与える。 など
これらを継続的に行うと、内発的な動機づけに対し、マイナスの影響(アンダーマイニング効果)を与えてしまう可能性があります。
アンダーマイニング効果は、学ぶ楽しさや自己実現のために自発的に行っていた行動に対して報酬を与えた結果、行動の目的が、学ぶ楽しさや自己実現から、報酬に変わってしまい、報酬なしではモチベーションが低下してしまうことによって起こると言われています。
教室の様子を見ていても、「プリントがすべて完成したら、帰りに本を買ってもらえる」という生徒がいました。この生徒はプリントの完成に非常に意欲的でしたが、興味が「学び」よりも「本」になってしまったようでした。その結果、問題を素早く解くだけでよいという姿勢に変わってしまったのです。これでは大きな成果はあがりません。
そこで保護者の方と相談して別の方法を提案しました。自宅で算数授業の復習をして、それが上手くできた場合(教室で深く学んでいることが前提)には、あらかじめ本人が図書館で選んで借りておいた本を「読書の自由時間」として「ほめ言葉」を添えて与えるようにしました。
物質的な報酬→自由(時間)・ほめ言葉
プリントの枚数→理解の深さ・学びの楽しさ
を重視するようにしました。本人の授業の取り組み方が変わり「楽しい」「面白い」という発言が出るようになりました。内発的動機づけが着実に上昇したように感じました。
内発的動機づけには、前回のブログでも紹介しましたように、所属欲求・承認欲求・自己実現の欲求の3つを満たす必要があるとされています。それらの段階で、人は自分の意思で行動を決めたい、有能でありたいと望んでいるとされています。
アンナーマイニング効果を避けるためには次の2点が大切と言われています。
・物質的な報酬ではなく言語的な報酬を与える(賞賛や期待など)
・保護者や教師から強いられて学んでいるように感じさせない
(自己有能感、自己決定感が大切)自分自身で決定する幅を広く持たせる。
アンダーマイニング効果に注意しながら、内発的な動機づけを大切にしていきたいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。