寒さが過ぎ去り、あたたかい…というより、暑い日が続くようになりましたね。受験生のみなさんは日々の学習や模試に励んでいる時期だと思います。
さて、本年の女子学院中のⅡでは小笠原諸島に関する問題が出題されました。
父島に持ち込まれた外来生物の特徴を挙げ、その生物が持ち込まれた理由を選ぶ問題です。北アメリカ原産であること、虫のみを食べていることの情報からペットとして持ち込まれたグリーンアノールであることを推測し、答えていく問題で大変興味深い問題です。
小笠原諸島は大陸から離れてできたのでは無く、海底火山が噴火してできた火山島です。一度も大陸と陸続きになったことがないため、島には独自の進化を遂げた固有種が多く存在します。そのため、2011年に世界自然遺産に登録されています。外部から生物が入り込むためには長い期間海を渡る必要があるため、人が持ち込まない限り大型のほ乳類などは入り込むことができない環境になっています。
ペットや観賞用として持ち込んだ生物が野生化したり、何らかの理由で持ち込んだ生物をわざと放したことにより野生化したりといった意図的な持ち込みはもちろんですが、意図的では無い持ち込みにより外来生物が持ち込まれ野生化してしまうケースもあります。意図的なケースはもちろんですが、意図的では無いケースの持ち込みをどう防ぐか、何に気をつければ良いのか、といった内容は中学受験の理科でも出題されています。
例えば小笠原諸島に船で観光に行く際、船から島へと上陸するときに衣服や靴の裏に本土の生物がついていて、上陸してそのまま島へ流入してしまうケースがあります。卵や種子がついていることはもちろんですが、成体や幼虫、花粉、生物の体の一部そのものなどがついている場合もあります。人の移動はもちろんですが、物資の移動の際も同様のことが言えます。これらの様な意図的では無い外来種の持ち込みを防ぐ手段としては、まず船に乗る際に衣服についているものをはらったり、靴の裏についているものを落としたりということが挙げられます。それでも船内で本土の生物が付着する可能性がありますので、上陸の前にも同様のことを行います。物資を持ち込む際にも船に積み込む時、船から降ろす時には何かが付着していないかを入念に確認します。それでも外来種の流入が確認されてしまった際には、罠などを使って捕獲をしたり、目視できる植物は引き抜いたりと、駆除を徹底します。可愛そうに思うかもしれませんが、小笠原諸島の固有種、自然を保持するためには必要なことであると言えます。
数年前のある中学校の入試問題でこのような問題が出題されました。
海底火山の噴火によりできた火山島を調査する際、船を直接島につけて上陸するのでは無く、島の近くで船を止め、そこから船まで泳いで(ダイビングですね)いき上陸をします。島から船に戻る際も同様に泳いで戻ります。この理由を答えなさい、というものです。
みなさんはもうわかりますね。
島から離れた場所から泳いで上陸することで、
・船からの外来種の侵入
・体についた外来種の侵入
を可能な限り防ぐことができます。
そこまでするのか?と思うかも知れませんが、自然を保護し、生態系を守るため、最近の言葉で言えば「多様性を維持する」ためには必要なことであると言えます。
受験生のみなさん、日々の学習をしながらまだ少し余裕があるうちに身のまわりのことに目を向けて下さい。そこで見て、聞いたことが理科や社会の入試で出題されるかもしれません。
頑張れ!受験生!