2022年度の入試が終わり、新小学校6年生のみなさんは2023年度の入試に向けて新たなスタートをしていると思います。
さて、今年の桜蔭中の大問1では、生物の分類や進化の問題の中でウーパールーパーに関する問題が出題されました。変態の様子からウーパールーパーがカエルに近いのか、イモリに近いのかを考察させる問題が印象的でした。
さて、ウーパールーパーは正式名称をメキシコサンショウウオと言います。サンショウウオの仲間ですね。かなり昔ブームになり、日本へと輸入されるようになったことをきっかけに、今でもアクアリウムなどで人気のある動物です。みなさんも知っていることとは思いますが、幼生(子供)の形態を残したまま成熟する(大人になる)幼形成熟をする動物です。近年では四肢だけではなく、脊椎や心臓も再生可能であることから、再生医療の分野で研究が進められています。
ウーパールーパー、サンショウウオと言えば両生類ですね。両生類とは幼生のときは水中で生活し、成体になると陸上で生活する脊椎動物の一つの分類です。水中と陸上の両方で生息する時期があるので両生類と呼ばれます。
みなさん、両生類の仲間を挙げてください、と言われたら何を思い浮かべますか?
カエル、イモリ、サンショウウオ、ですね。受験のための理科の勉強をしている人のほとんどもこの3種類を答えると思います。逆に言えば、この3種類しか聞いたことがないのではないでしょうか。
両生類の仲間は大きく分けると3種類に分かれます。更に、そこからみなさんがよく知っている分類に分けても4種類にしか分かれません。4種類のうち3種類が日本に生息していますので、多くの学校の教科書や塾のテキストには3種類の動物が出ている形になります。
両生類を大きく分けた3種類のうちの1つめは、無尾目といい、カエルの仲間がこれにあたります。成体になると尾が無くなるので無尾目と言います。肋骨が無いものが多いことも特徴です。2つ目は有尾目といい、もうわかりますね。成体になっても尾がある仲間で、イモリやサンショウウオがこの仲間です。ウーパールーパー、メキシコサンショウウオはこの仲間になりますので、先ほどの問題と同様カエルよりもイモリに近い仲間であることがわかります。
このように両生類の仲間のうち、無尾目のカエル、有尾目のイモリ、サンショウウオが日本に生息していますので、両生類の仲間は多くの場合3種類が紹介されることとなります。
ではもう1種類はどんな動物なのでしょうか?
無足目という分類で、アシナシイモリという仲間がいます。分類も名称もどちらも見ればどんな外見かが浮かぶと思います。両生類の中でも特殊に進化した体を持っていますが、両生類の原始の体のつくりを残しているという特徴があります。
多くの仲間は普段は土の中で生活をしています。
分布は東南アジア、インド、中南米、アフリカの熱帯地域となります。
では問題です。
なぜ、普段土の中で生活をしているアシナシイモリの仲間がこのように海をまたいで赤道直下の広い範囲に分布をしているのでしょうか?
泳いだのでしょうか?名前から考えるとそのような体のつくりはしていないと想像できます。ではどのようにして移動したのでしょうか?
はるか昔、これらの地域がパンゲア大陸として一体化していた頃、陸続きの大陸であった頃に移動したと考えられます。
このような進化や系統に関する問題は近年の最難関校で増加しています。
受験生の皆さん、身の回りのもの、身の回りで起きていることに興味関心を持ちましょう。
ただし、近年の最難関校の入試問題は興味関心を持っているだけでは太刀打ちできません。
興味関心を持ち、深く知ること、自分の知恵として使いこなすことが必要となります。
今ならまだ少し、時間に余裕があると思います。
何でだろう?と思って心にしまい込んでしまった疑問を本当の意味で解決しましょう。
そうすることで、みなさんの第一志望校合格に大きく近づけるかも知れませんよ。
頑張れ!受験生!