みなさんは「栄養成分表示」を知っていますか?
「100gもしくは100mL、または1食分、1包装あたり」の、「エネルギー(熱量)、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(食塩相当量)」それぞれの量を示したものです。
コンビニで買い物をしたときなど、目にしたことがあると思います。
しかし、その内容や、どのような計算で求められるか、を考えてみたことはあるでしょうか?
2023年度の麻布中と渋谷教育学園幕張中の理科の入試問題で、この内容が出題されました。
もちろん知識問題ではなく、その場の文章を読み思考すれば解けるように作問されています。
エネルギー(熱量)とは、食品を消化・吸収できる栄養成分がすべて利用されたときに、ヒトが得られる量のことです。
kcal(キロカロリー)という単位で表し、「1gのたんぱく質と炭水化物からは4kcal、1gの脂質からは9kcalのエネルギーが出る」として計算されます。
ただし、炭水化物が、糖質と食物繊維とに分かれている場合があります。
糖質とは、ブドウ糖、オリゴ糖、デンプンなどのことで、食物繊維とは、ヒトの消化酵素で消化されにくい成分のことをいいます。
それぞれのエネルギーは、1gの糖質は4kcalに対し、1gの食物繊維は2kcalとなります。
※これ以外にも、アルコールなどの成分がありますが、ここでは割愛します。
ちなみにアルコールは1gあたり7kcalで、たんぱく質や炭水化物よりも多いです。
さて、どうして食物繊維のエネルギーは4kcalより少ないのでしょうか?
この食物繊維のエネルギー換算については、麻布中と渋谷教育学園幕張中の両校で出題されました。
これまでの文章中にヒントがあります。
それは、
(1)「エネルギー(熱量)とは、食品を消化・吸収できる栄養成分がすべて利用されたときに、ヒトが得られる量」
(2)「食物繊維とは、ヒトの消化酵素で消化されにくい成分」
という部分です。
消化・吸収されなければヒトの体内で利用することができませんので、糖質に比べてエネルギーが少なくなります。
入試問題であればここまでの内容で正解にたどり着くことができますね。
せっかくですので、もう少し食物繊維を掘り下げてみましょう。
食物繊維はヒトの消化酵素では消化されないため、小腸を通過して大腸に運ばれます。
そして大腸で発酵されて一部が吸収されます。
なので、0kcalではなく2kcalなのですね。(発酵の具合によっては1kcalで計算することもあります。)
このような問題が出題されるのは、日頃から身の回りにあるものに目を向け、
それについて考えてほしいという学校からのメッセージだと思います。
いろいろな出来事を理科的な目で観察し思考できるように日々生活してみてください。