サクラは古くから日本の山に自生していた植物で、「花といえばサクラ」と言われるように親しまれてきました。
また、サクラが全国的に植えられているのは、稲作を始める合図に使われていたためとも言われています。学校にもサクラが植えられていることが多く、よく目にする植物の1つですね。
さて、そんなサクラですが、いろいろなおもしろいことがありますので、ご紹介します。
(1)全国に植えられているほとんどのソメイヨシノはクローン
全国に植えられているサクラの7割はソメイヨシノという種のサクラです。
このソメイヨシノは、江戸時代末期に成長がはやいサクラと丈夫なサクラを掛け合わせてつくられ、それが美しい花を咲かせたので、これを後世に残すため「接ぎ木」という方法でクローンをつくり、全国に植えられました。接ぎ木の方法は、1年ほど育った他のサクラの根元部分に切り込みを入れて、短く切ったソメイヨシノの枝先を切れ込みに差し込み固定するものです。
また、クローンということは、一定の条件になれば周辺のソメイヨシノは一斉に咲くので、お花見もしやすくなります。この「一定の条件になったら花を咲かせる」特長を生かして、桜前線がつくられ、3月になるとニュースなどで話題に挙がります。
(2)堤防にサクラが植えられているのは治水対策
洪水が多い川岸に新たに堤防をつくり、その上にサクラを植えました。このようにすると、多くの花見客で土が押し固められ頑丈な堤防になると考えられていたそうです。
(3)ソメイヨシノの種はできない
ソメイヨシノは「自家不和合性」という性質があり、自分の花粉では受粉ができません。 また、(1)で述べたとおりソメイヨシノはクローンなので、ソメイヨシノの花粉はどれも同じということになり、他のソメイヨシノでも受粉ができません。しかし、よく見るとサクランボのような実がついているのを見ます。これは、ソメイヨシノ以外のサクラから来た花粉がついてできたものです。
2021年度の筑波大附属駒場中の入試では、「生物季節観測」に関する問題が出題されました。これは、生物の振る舞いをもとにして、観測された結果から季節の遅れ進みや、気候の違い、変化など総合的な気象状況の推移を把握するのに用いられます。長期的には、過去の記録と比べることで、気候変動や都市化の影響などを知るためにも利用されるものです。
入試の背景には、「小学校にある動植物に興味を持って生活してほしい」という学校からのメッセージが、きっと隠れています。受験のために学習するのではなく、自分の周りの事象を知るために学習する、という意識がとても重要です。