桜蔭中の理科の入試問題より

2015/11/26

エクタス理科より桜蔭中


 11月も終わりに近づき、マフラーやコートを手放すことができない時期になってきました。この寒さを迎えると、入試本番がいよいよ近づいてきているということを改めて実感します。


 


 受験生のみなさん、風邪などの病気への対策、寒さへの対策は万全ですか?手洗い、うがい、消毒はもちろんですが、寒さへの対策として、体の外側、内側に対しての工夫を以前のブログにのせています。ぜひ参考にしてください。


 


 さて、今年の桜蔭中の問題では手回し発電機による発電の問題が出題されました。


 


 手回し発電機に関する問題は近年の中学入試においては頻出の内容と言えます。みなさん、仕組みをきちんと理解していますか?直流モーターを思い浮かべてください。2つの磁石(界磁石)の間にコイル(電機子)を入れ、電流を流すとコイルに磁力が生じることでコイルが回転します。しかしこのままでは半回転でコイルが止まってしまいます。このため、半回転毎にコイルに流れる電流を逆にする整流子という仕組みがあります。この整流子により、半回転毎にコイルを流れる電流の向きが変化し、半永久的に回転するのが直流モーターの仕組みです。要するに、磁石の間にあるコイルに電流を流すことでコイルを回転させるということです。


 


 手回し発電機はこの仕組みを逆に利用したものです。磁石の間にあるコイルを回転させることによりコイルに電流を生じさせます。このことを電磁誘導といい、このときに生じた電流のことを誘導電流といいます。ここで気をつけてほしいことが、コイルと磁石の動きに差が生まれることによって電流が生じますので、回転させるのはコイルでも磁石でもどちらでも良いということです。みなさんの中には、モーターと言えば回転するのはコイル、という認識があるかもしれませんが、原理を考えるとコイル、磁石のどちらを回転させても電流が生じることになります。気をつけましょう。このとき、コイルや磁石を回転させるのに使うものがハンドルです。


 


 ハンドルを運動(回転)させることで電流が生じます。つまり、ハンドルを回転させることで生じる運動エネルギーを電気エネルギーへと変換させているのが手回し発電機の発電方法です。運動エネルギーを電気エネルギーへと変換させていますので、流れる電流が大きくなるほどハンドルを回す手ごたえは大きくなります。


 


 これらのことを利用した入試問題がこれまで多くの学校で出題されています。もちろん、これからも出題されていくでしょう。


 


 例えば、手回し発電機を導線につなぎ、その導線に、


 ①わりばし、②豆電球、③LED、④導線(ショート)


をそれぞれつないでハンドルを回したとき、ハンドルを回す手ごたえの大きさは大きい順にどうなるでしょうか?


 


 考え方は前述の通り、流れる電流が大きくなるほどハンドルを回す手ごたえが大きくなる、ということです。答えはのせませんので、原理原則を踏まえて自分で考えてみましょう。


 


 今「例えば」ということで問題を一問出題しましたが、これは実際に中学入試の問題で出題された内容です。手回し発電機を題材にすると様々な問題を作問することができます。


 


 ハンドルをゆっくり回したときと速く回したときの違いは?


 豆電球を直列につないだ回路と並列につないだ回路につないだときのハンドルを回したときの様子の違いは?


 コンデンサ(蓄電器)に手回し発電機をつなぎ、ハンドルを回したときの手ごたえの変化は?


 このときの手ごたえの変化の理由は?


 蓄電が終わったあとにハンドルから手をはなすとどうなる?


 コンデンサ、豆電球を直列、並列につなぎ、電流計と手回し発電機を接続し、ハンドルを回すとそれぞれどのような変化が起こるか?


 このときにハンドルから手をはなすとどうなる?


 手回し発電機に手回し発電機をつないでハンドルを回すとどうなる?


 …


 


 あげていけばキリがありません。これらの問題、すべて答えられますか?


 もちろん、エクタスではすべて答えられるように(すべて教える、ではなく、受験生のみなさんがすべてをきちんと考えられるように)指導をしています。


 


 さぁ、あと60日です。


 一つでも多くのことを身につけ、最高峰の学校を目指す挑戦者になりましょう。


 


 がんばれ!受験生!


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