秋も深まり、冷たい秋の風が吹く日が続いていますね。先生のように地方から出てきた人の間では、東京は「秋がないよね(夏が終るとそのまま冬に突入する)」という話がよく出てきます。今年は夏が終って冬に入る前に秋らしい天気が続いています。でもまだまだあたたかい風が吹く日もありますね。受験生のみなさん、体調管理に気をつけて下さい。
さて、今年の麻布中の問題では「藍染め」に関する問題が出題されました。古くから日本では蓼藍(タデアイ、植物)の葉を切り取って乾燥させた後、微生物による発酵分解を行い、そこに灰汁などを混ぜ合わせることによって色素を抽出し、布などに着色をします。食品以外で微生物の力を借りて発酵させているという珍しい例ですね。今回は「発酵」について書いていきます。
さて、微生物のはたらきとして「分解」という言葉がありますね。生物の死骸やふんなどを微生物が分解し、植物の肥料とするはたらきです。発酵はこの分解の過程で起こることです。食べものをそのまま置いておくと腐りますね。腐ることを「腐敗」といいます。みなさん、「発酵」と「腐敗」の違いがわかりますか。
科学的な概念ではなく一般的な考え方で言うと、「発酵」は人の役に立つように微生物が食べものを分解すること、「腐敗」は人が食べられないようになるように食品が分解されること、となります。が、科学的に発酵と腐敗はそれぞれ違いが明確化されています。「発酵」とは「糖分が分解されて乳酸やアルコールが生成されること」、「腐敗」は「タンパク質やアミノ酸が分解されて硫化水素やアンモニアが生成されること」となります。もちろん、例外もありますので書いたことだけにとどまることはありません。人は「発酵」によって生成される乳酸やアルコールに旨味を感じ、また体内に取り入れても有益である(「害がない」という意味ではありません!)ことから、様々なものを発酵させ、食品として利用してきました。「発酵」させることで「腐敗」が進みにくくなることも利用し、保存食品としても利用されています。
発酵食品にはどのようなものがあるか知っていますか。
納豆
チーズ
ヨーグルト
醤油
味噌
パン
お酒
お酢
キムチ
甘酒
…
このあたりはすぐに思いつくと思います。この他にもまだまだあります。意外!?と思うものもあるかもしれません。
紅茶やウーロン茶
微生物を利用している、というよりは葉そのものが持つ酵素によって発酵が進みます。
鰹節
鰹を乾燥させるときにコウジカビによって発酵させています。
バニラ
種子そのものの発酵で甘いにおいを出させます。
イチョウ(ぎんなん)
種子を取り出すときの下処理として微生物を利用しています。
くずもち
小麦粉を発酵させています。
などなど身近な食品の中で「発酵」を利用しているものはたくさんあります。間違えやすいのは「豆腐」です。「腐」という字を含んでいるので発酵させていると勘違いすることが多いですが、豆腐はダイズの絞り汁を「にがり」によって固めているだけで微生物の力は利用していません。中国の料理で「臭豆腐」というものがあります。「臭豆腐」は豆腐をつくる過程で微生物の力を借りて風味を強くしています。
チーズの発見は偶然のことだったと記録されています。紀元前6000年頃、この頃は食品を反芻動物(ウシなど)の胃袋に入れて保管していました。この中に入れていたヤギなどの乳が、高温多湿の環境によって発酵し、それを偶然見つけた人によって長期保存の食品として広がることになりました。様々な条件が重なり、偶然も重なっての発見が現代まで受け継がれているということです。私が書いたブログの中に度々出す言葉ですが、昔の人達の「最初に何かをする勇気」や、「これまでの常識を覆す考えを出す勇気」が現在まで受け継がれる様々なものを作り出したと言えます。
もうわかりますね。伝えたいことは「勇気」です。これから受験に向かう受験生のみなさん、受験に正々堂々立ち向かう「勇気」は強く正しく身についていますか?
受験という戦いで勝利をするのは受験生のみなさんです。今、模試の結果や過去問の結果で弱気になっていませんか。うまく得点が取れない人はどうして取れないのかを真剣に考えましょう。弱気になると人は自分以外の何かに原因、理由を求めようとします。でも違いますね。弱気になってしまっている自分を変えることが必要です。変えるためには、強く、正しく、努力で正面突破するしかありません。
残り3ヶ月、自分の限界まで努力を重ね、「勇気」を振り絞って受験の日を迎えられるよう、日々精進をして下さい。
頑張れ!受験生!