暑さの厳しい夏でしたが,少し暑さが過ぎ去り心なしか涼しい日が続いています。
受験生のみなさんは夏休みの学習のラストスパートをかけている時期だと思います。
さて,2018年度の桜蔭中学校のⅠでは鏡に関する問題が出題されました。
どこにでもあり,毎日のように眺めている鏡。
中学受験の理科でもよく見かける鏡。
みなさんはそんな鏡について疑問に感じたことはありませんか?
「鏡ってどんな道具?」と言われると,ほとんどの人が「左右反対の像ができる道具」と答えると思います。
「なぜ左右は反対になるのに上下は反対にならないの?」という疑問を持ったことがある人も多いのではないでしょうか。
言われてみると,と思う人もいると思います。確かに鏡に自分の顔を映したとき,左右は反対になりますが上下は反対になりません。
では,なぜ?
こうした疑問を考えるときには自分の考えを否定してみるとうまくいくことがあります。実際,理科や数学ではこのような方法を取ることがあります。
「左右が反対になる」を否定してみます。
ある人(Aさんとします)が鏡の前に立っています。
Aさんが右手を上げると,鏡の像は左手を上げますね。
あれ?・・・いきなり否定が否定されてしまいましたね。
・・・ではAさんが右手を上げたときに鏡の像は本当に左手を上げているのでしょうか?
Aさんが右腕に腕時計をつけています。
Aさんが腕時計をつけた右手を上げると,鏡の像は腕時計をつけた腕を上げますね。
このとき鏡の像が上げているのは左手でしょうか?
Aさんは右腕に腕時計をつけていますが,左腕には腕時計をつけていません。
鏡の像は腕時計をつけた手を上げていますから,鏡の像が上げた手は右手になりますね。
つまり,Aさんが右手を上げたとき,鏡の像は同じく右手を上げたことになります。
これで左右が反対,がなくなりました。
では鏡はいったい何をどうする道具なのでしょうか。
一般的には「左右を反対にする道具」です。みなさんが問題を解くときには特に指定がなければ「左右対称」で答えて下さいね。しかし,理科的・数学的には「前後を入れかえる道具」なのです。
Aさんが鏡の前に立っています。Aさんは北を向いています。
鏡の像はどこを向きますか?
南ですね。
Aさんは北を向いていて,鏡の像は南を向いていますから,前後が入れかわっていることがわかります。
前後を入れかえる「だけ」の道具なので,上下が反対になる必要はありませんね。
少し難しかったかもしれませんが上下が反対にならない理由を説明しました。
近年の中学受験の理科では,教科書に載っていない,身のまわりの理科が出題されます。
みなさん,何気なく毎日を過ごすのではなく,身のまわりで起きていることに興味・関心・疑問を持って,常に考えることを忘れずに生活して下さい。
今何気なく考えていることが,みなさんの志望校の理科のテーマになるかもしれませんよ。
頑張れ!受験生!