「天才」カラスのニュースが流れていましたが,皆さんはご覧になりましたか?
横浜の公園の水飲み場で,カラスが水道の蛇口をひねって水を飲んでいる姿がニュースで流れていました。もちろん羽や足で蛇口を開くことはできませんから,器用にくちばしでつつくようにして,蛇口を開けて出てきた水を飲んでいました。さらに水の量を調節して,勢いよく水を出し,水浴びまでしていました!
大学の先生が昨年の春頃に横浜の公園で調べた記録が最近発表され,今回ニュースになったそうです。その先生が79時間観察をしたところ,1羽のメスのハシボソカラスが,21回水を飲み,4回水浴びをしたそうです。公園にくるカラスは10羽以上いたそうですが,蛇口を開ける,という行動をしたカラスはこのメスだけだったので,「天才」カラスだということになったわけです。
「都市部で暮らすカラスは人間の行動をよく観察しており、今後もいろいろな形で人間が作りだした道具を利用する可能性がある」と,その先生がお話ししていました。カラスの学習能力の高さに驚かされるとともに,いずれまた,すごいカラスの行動を見ることがあるかもしれない,と思うと楽しくなりますね。
そして,このことは楽しいだけではなく,皆さんの受験勉強にも大切な気づきを与えてくれます。ただ「見ている」だけでは,カラスは蛇口の使い方を学習することは無かったでしょう。きちんと「観察」をしたから水道の蛇口を使えるようになったのだと思います。「見る」と「観察」は似ているようで,実は大きく違うということです。理科の学習をしているとよく「観察」という言葉に出会いますね。その本当の意味を皆さんも少し考えてみると,何か学習のヒントをつかめるかもしれません。「観察」することは,気づきがあり,新しい学びがある,ということにつながるからです。
ちなみにそのカラスは,蛇口を閉めることはしなかったそうです。水道の水を出したまま飛び去っていったとのこと。残念ながら,蛇口を閉めることまでは学ばなかったようですね。