3月に入りまだ肌寒い日が続いていますが、少しずつ暖かくなってきて春の訪れを感じる今日この頃ですね。
新小学校6年生の受験生のみなさん、新学年になり勉強に励んでいると思います。
今年の桜蔭中の大問1では「シュリーレン現象」に関する問題が出題されました。
「シュリーレン現象って何??」と思う人も多いと思います。
以前はわりと見かけた問題ですが、最近は数年前の浦和明の星で出題されたものが最後で、なかなか見かける機会が少なくなってしまった問題です。
みなさん、食事をするとき、料理を作るとき、理科の実験をするとき、遊んでいるとき…、どんな機会でも大丈夫です。水に何か(できれば水に溶けるもの)を入れたとき、入れた部分に「もや」のようなものが見えたことはありませんか?
透明な水なのに「もや」のようなものが見える、すなわち「見え方が変わる」というのはどういうことなのでしょうか。
水は透明ですので太陽光や電灯の光(光源からの光)は水を通過して私たちの目に届きます。このとき光の通過の仕方が変われば、水を通った光の見え方も変わります。
例として家の中で水に食塩を入れ電灯の光で観察していることとします。
水に食塩を入れると最終的に食塩は水に溶けて水全体に均一に広がりますが、水に食塩を入れた直後は、食塩を入れた部分の水に溶けます。すると、食塩を入れた部分は食塩水となり、他の部分は水のままです。つまり、食塩を入れた直後は「食塩水」である部分と「水」である部分に分かれます。食塩水と水は光の屈折率が異なります。屈折率が異なるため光の通過の仕方が変わります。この屈折率の仕方が変わった部分が「もや」に見えるのです。食塩は水よりも重たいため水に入れた直後から下に沈んでいくように見えます。そのため、食塩を入れた部分から下に向かって「もやもや」が移動するように見えるのです。食塩水と水だけではなく、透明な溶媒で濃さが異なるものであれば観察できます。できるだけ屈折率が大きく異なる(濃い食塩水と水のように)方がよりはっきりと「もや」が観察できます。
空気中でも同じような現象を観察することができます。
例として暑い日などに車のボンネットに直射日光が長時間当たっていると、その丈夫の空気はまわりの空気よりも温度が高くなります。空気は温度によって屈折率が異なるため、同じようにこの部分に「もや」が見えることがあります。こちらの方が見たことがある人が多いかもしれません。いわゆる「陽炎」です。
このシュリーレン現象を使い、透明な空気や液体の動きを目に見えるように観測する方法として「シュリーレン法」というものがあります。
写したいもの、光源、複数の凸レンズもしくは凹レンズ、スクリーン、ナイフエッジを使ってスクリーン上に動きを映し出します。本来は透明で見ることができない、火のついたロウソクのまわりの空気の対流の様子や、少し前に話題になった衝撃波などを目で見ることができます。今はインターネットなどで見ることもできますので、興味がある人は調べて見て下さい。ちなみにシュリーレン法を発案したのはみなさんもよく知っているフランスの物理学者であるフーコーです。
身近なところで起きている現象に目、耳を傾けて下さい。
「なぜ?」という気持ちを常に持ち続け、様々な方法で解決して下さい。
頑張れ!受験生!