新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、皆さんの今年の夏休みは例年よりも短くなってしまいました。そうなると、学校の授業が続く中で塾の夏期講習もあって、「本なんて読むヒマがない!」という声が聞こえてきそうです。でも、そういうときには息抜きとしての読書がおすすめです。この先どうなるのかと展開が気になり、ついつい熱中してしまう小説も楽しいものですが、エクタス社会科からは「少しずつでも読めてちょっとした休憩や気分転換にぴったり」な本をご紹介します。
尾形希莉子・長谷川直子著「地理女子が教える ご当地グルメの地理学」(ベレ出版)
2018年に発刊された本で、筆者はその当時お茶の水女子大学に在籍し、教育学部で地理学を専攻していた学生です。
47の都道府県ごとにその土地ならではのいわゆる「ご当地グルメ」を紹介し、なぜそこでその食べ物が生まれたのか?なぜその食材を使っているのか?などを解き明かしていきます。
かんぴょう(栃木)、さくらんぼ(山形)、しょうゆ(千葉)といった小学生でも知っているものから、讃岐うどん(香川)、崎陽軒のシウマイ(神奈川)、味噌煮込みうどん(愛知)などの名物料理も出てきます。
各県ごとに数ページの読み物になっていて、写真や地図もふんだんに使われているので、少しずつ読み進めることもできますし、パラっと開いたところだけ読むというのも良いかもしれません。
日本は、世界の中で見ればそれほど大きくない国ですが、南北に細長く、周りを海に囲まれていて、さらに険しい山々もあり、地形や気候の特色はさまざまです。また、山間に住む人々もいれば、島に暮らす人々もいて、今のように便利ではない時代だからこそ知恵のつまった食べ物が生まれました。この本は、そんな各地の風土や人びとの暮らしと食べ物の結びつきについて「なるほど」と思わせてくれます。
「地理学」とありますがけっして難しい文章ではなく、むしろ小中学生にちょうど良い文章だと思います。中には、砂たまご・こづゆ・地獄蒸しプリンといったあまり皆さんにはなじみのない食べ物も出てきます(東京都は「深大寺そば」が取り上げられていますが、今では知らない人も多いと思います)。
山や川の名前を覚えたり、農産物の生産順位を暗記したりする勉強だけではつまらないですから、たまには読書を通して社会科の勉強をしてみると良いのではないでしょうか。旅行に行くのも当分おあずけなので、旅に出る気分で読むのもおすすめです。