さて、いきなりですが問題です。
―――素数とはどんな数ですか?
皆さんは何と答えたでしょうか。
授業を現場で実際にやっている立場で言えば、圧倒的に多い解答は「1と自分でしか割れない数」です。…そして、これは誤りです。
参考書などには、「2以上の数で1と自分でしか割れない数」と書いてあることが多いです。
もちろんこれは正解です。そうやって覚えている人も多いかと思います。
ですが、実際に使えるかどうか、という視点で考えると微妙な覚え方になります。算数の問題として素数の説明そのものを書かされることはほとんど無く、実際の場面では素数を正しく認識しているかどうかを判断する問題が出されます。作問者は、問題を解く立場の視点に立ち、解答できるかどうか、または解答が分かれるように問題を設定します。そしてこれは算数に限ったことではありません。例えば、国語で同音異字の漢字の出題があるのもその視点です。単に漢字を知っていれば良いのではなく、場面に応じて正確に使い分けられること、言葉を音ではなく意味で覚えているかが試されているのです。
先ほどの素数の話で言えば、実践的には「約数が2個の数」と覚えることがおすすめです。素数の判別で多い誤答は、まず何よりも1を入れてしまうことです。1の約数は1のみで1個ですので、この覚え方で誤答を防ぐことができます。2個とは何?と言われたら、1と自分と答えれば良いのです。そしてこの考え方は約数の個数に対しての意識を喚起していく上でも重要です。約数の個数が1個の数は? 2個の数は? 3個、4個は…?と考えることができますでしょうか。
このように、何かを覚える際には、どんな使われ方をするのか? どんな間違え方の可能性があるか? を考えると一段視座の高い位置からの学習が可能になります。また、これは相手に何かを説明する際にも重要なポイントになります。今日から是非、このような視点で前向きに素敵な学習ができるようにしていきましょう。