このブログが公開されるのはゴールデンウイークが開けた頃ですが、皆さんは学習のリズムを崩さずに頑張れているでしょうか。いつもは『忙しくて宿題がきちんと全部できない!』なんて言っていたこともあるかもしれませんが、だからといって今回のように時間があったとしても、『集中力が続かなくて思うように宿題ができない!』となっていそうですね…。
有名な話ですが、できない理由を言うよりは、どうしたらできるようになるかを考えた方が良いことが多いです。是非前向きな気持ちでこの時間を過ごしてください。
さて、今回は次の問題を考えてみましょう。
【問題】
紙でできた立方体の辺をいくつか切り開き、展開図を作成します。何本の辺を切り取れば良いでしょうか。
小6なら1分かからずに正解できなくてはいけませんし、小4でも正解はできますし、してほしい問題です。問題は「どう考えたか」です。
まず、実際の見取り図をイメージし、そこを切り開く作業を頭で行って本数を数えた場合ですが、残念ながら作戦としては「下」です。誤解のないように言いますが、この方法で解いたことを否定はしませんし、何もせずにわからない、もしくは、やり方をすぐに人に聞くことよりは、はるかに良いことです。ですが、この方法は数え間違いやすく、根拠にも乏しいです。「だってがんばったらそうなったから」ですよね。
もう少し良い方法はないでしょうか。今度は立方体の展開図から考えてみます。どれでもかまいませんが、立方体の展開図を書き、その外側(外周)の辺の数を数えると14本あります(ちなみに、こういうときに複数の展開図を書いて確認することができる人は算数の力が1レベル上ですね)。この14本の辺は切り開いてできた辺であり、もとの1本の辺を切り開いて2本にしているので、答えは7本です。方法としては「中」ですね。それでも「下」と比べて運の要素が減ったことと、展開図があればほかの立体でも考えることができる、つまりはより一般化できている点で優れていることがわかります(優れていることが理解できない場合はちょっと困ります)。
同時に問題点にも気づけましたか? 展開図がわからないときはどうしたら良いでしょうか。
さらに別の方法を考えます。
そもそも立方体は、正方形が6枚集まっています。つまり、もとは4×6=24本の辺が「のべ」であったことになります。このうち、展開図では面と面が辺を共有していますので、その辺は植木算を考えて5本ありますが、そのためにはもとの正方形の10本の辺が必要です(正方形のお互いの辺を共有して立方体の辺となるため)。立方体の辺は12本あるので、残りの7本が切る辺です。
線部分を利用して少し手を抜きましたが、その知識がないときは、
もとの24本のうち、10本が内部の辺、残り14本が外部の辺になり、7辺を切る。と導けば問題ないですね。これが「上」ですね。
こうすると、例えば、正三角形を20枚集めた正20面体の展開で切る辺も同様に考えられます。展開図そのものは不要です。このような一般化や抽象化できることが算数(将来的には数学)では非常に重要になってきます。
君たちにとっての、「良い解き方」とはどんなものでしょうか?
単に「楽な解き方」になっていませんか? 将来の成績は、今の学習の仕方で作られます。日々のちょっとした意識や行動で未来は変わります。せっかくですので、内容の「濃い」学習をしてほしいと思います。今度教室で会うときは、是非たくさんの質問をしてほしいと思いますし、仮に会えなくとも別の方法でも遠慮なく質問をしていきましょう。単にわかったとかわからないのレベルで算数に向き合うのはもったいなさ過ぎますよね!