こんにちは。大宮校の宮下です。
今回も前回に引き続き、算数のアプローチについて考察してみます。
例① 37㎞を11.1分で進むとき,24分で何㎞進みますか。
速さを求めると、37÷11.1×60=200より時速200㎞。
この速さで24分進むと、200×24÷60=80㎞になる。
というのが一般的な解き方ですが、面白みもなく計算も面倒です。
同じ速さであれば割合や比は等しいはずです。
この問題を図式化してみると、
11.1分 → 37㎞
24分 → ㎞
37×3=111 より、時間を10倍して3で割ると道のりになることがわかるので、
24×10÷3=80(㎞)と同じ答えを暗算で出すことができました。
80㎞という答えを出すのに、面倒な計算を回避できるのです。これが算数の醍醐味です。数学と根本的なとらえ方が違います。直線的に解くのではなく、面の広がりを持たせることで、結果的に答えに短距離で向かうことができるのです。ゴリゴリ計算もしていないので、いわゆる計算ミスの予防にもなります。
ちなみに、前出の 37×3=111 は受験生の常識です。
このほかにも、7×11×13=1001 73×137=10001 は必須です。
更に発展させたものとして、11×101=1111 3×7×11×13×37=111111
11×73×101×137=11111111 などもあります。
例② 1,3,6,10,15,21,28,36,45,55,… の89番目と90番目の和はいくつですか。
三角数という階差数列の問題です。
たとえば9番目は、1+2+3+4+5+6+7+8+9=(1+9)×9÷2=45で、
10番目は、1+2+3+4+5+6+7+8+9+10=(1+10)×10÷2=55です。
89番目は(1+89)×89÷2=4005、90番目は(1+90)×90÷2=4095なので、
4005+4095=8100 というのが一般的な解き方です。
ですが、この三角数には興味深い性質があるので、それを利用するととてもエレガントに解くことができます。
9番目と10番目の和は、45+55=100 になりますね。実はこの100は、10番目の10の平方数になっているのです。
ですから89番目と90番目の和は、90×90=8100 になります。
また、89番目と90番目の差は90ですから、このことを利用すると、89番目と90番目を簡単に求めることができます。
90÷2=45
90×90=8100 8100÷2=4050
となるので、
89番目…4050-45=4005
90番目…4050+45=4095
等差数列の和の公式でゴリゴリ計算して解くよりもスマートになりましたね。
ちなみに、三角数は、1から始まる整数の和として式を立てますが、このことを利用して式を作ると、N番目の三角数=(N×N+N)÷2 というとてもシンプルな形になります。
この三角数にはほかにもこんな性質があります。
① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ||
三角数 | 1 | 3 | 6 | 10 | 15 | 21 | 28 | 36 | 45 | 55 | … |
三角数の平方 | 1 | 9 | 36 | 100 | 225 | 441 | 784 | 1296 | 2025 | 3025 | … |
立方数 | 1 | 8 | 27 | 64 | 125 | 216 | 343 | 512 | 729 | 1000 | … |
連続する三角数の平方の差は、同順の立方数になっています。
例えば、三角数の9番目の平方数と10番目の平方数はそれぞれ45×45=2025と55×55=3025ですが、その差は3025-2025=1000で、これは10×10×10=1000と同じです。
この法則はどの2つにも当てはまります。
考察の結論ですが、【当たり前と思って、使っているその式は本当に最善の手法なのか】、【まだまだ自分の知らないアプローチの仕方があるのではないか】、という問いかけを常にしていくことができれば、筑駒・御三家・駒東に近づくことができるのではないでしょうか。