年が明け、首都圏での2021年度の中学入試も本格的に始まりました。早速ですが、先日実施された浦和明の星中の算数の問題を考えてみましょう。
10cmと20cmと30cmのテープがあり、のりしろを2cmでつなぐ問題です。
(1)では作れる長さとそうでない長さを選ばせる問題でした。
(2)では130cmの長さを作るときの、最少枚数と最多枚数を求める問題でした(使用しないものがあっても構わない)。
(3)では130cmを3種類すべて用いて作るときの3種のテープの枚数をすべて書き出す問題でした。
いわゆる不定方程式に植木算や等差数列の知識が入った問題で、ある程度試行錯誤すれば解けるはずの問題です。ですが、試験というプレッシャーの中で正解率を求められ、限りある時間で自信を持って解けた受験生は決して多くはなかったと思います。
何度かこのブログでも扱っていますが、こういった(1)から(3)へとつながる問題では、前半の設問を通して背景にあるもの、作問者の狙いを汲み取れるかどうかで差がつきます。
今回の問題では(1)は8で割ると2余る数は作ることができ、それ以外は作れないことに気づくことが重要です。
(2)ではのりしろ2cmですので、最低5カ所ののりしろ→6枚必要。さらにのりしろは5の倍数必要であることに気づけるかどうかがポイントです。6枚で140cm、11枚で150cm、16枚で160cm(これが限界)…と考える。
そうすることで初めて(3)において、6枚で140cm→1枚ずつ使って残り3枚で80cm、11枚で150cm→1枚ずつ使って残り8枚で90cm、と考えることができます。
どの解き方が良いか…ということは問題の数値などの状況で大きく変わります。だからこそ、日頃から様々な寄り道をしながらいろいろな経験を積んでほしいと子供たちの教育に携わる多くの人が考えています。
もうすぐ2月になり、東京・神奈川の入試が始まり、同時に新学年も始まります。受験生の健闘を祈るのはもちろんですが、新しい学年を迎えるにあたり、今一度その視点を忘れずに学習に臨んで欲しいと思います。