昨年よりも若干易しめになりましたが,問題数などは例年と大きく変わらない「桜蔭らしい」入試でした。
Ⅰ 交通・輸送をテーマにした地理分野総合
Ⅱ 繊維産業の移り変わりをテーマにした歴史分野総合
Ⅲ 公民分野総合
大問のバランス・出題分野も昨年までと変化がありませんが,2011年以来2問ずつの出題だった記述問題が今年は4問に増えました。
出題形式としては,毎年受験生にとって強敵となる「すべて正しい場合はエ(あるいはオ)と答えなさい」という選択問題が姿を消したことが興味を引きます。また,Ⅲの公民分野が,用語記入+適語選択というスタイルになったことも昨年までとの変化ですが,取り立てて混乱を招くほどではなかったと思われます。
各分野とも幅広い単元からまんべんなく出題される学校ですが,この傾向は本年も同様でした。
Ⅰ(地理)では,図表を用いた問題や,地形・都市名などを問う問題などの基礎知識の定着を見る出題もあれば,貿易・情報通信・環境問題などの理解度が問われる発展的な出題もありました。記述2題が,日本と外国の河川の流量変化の違いと,ストロー現象がテーマだったため,日ごろから簡潔にまとめる練習に取り組んだかどうかで差がついたと言えます。
Ⅱ(歴史)は,昨年バングラデシュで発生したビル倒壊事故を切り口に繊維産業の移り変わりを説明するリード文で,受験生にはあまりなじみのない分野だったと思われますが,問題自体は平易なものが多く,ここでの取りこぼしはできるだけ避けたいところです。
Ⅲ(公民)では出題形式に変化があったとはいえ,問われている内容はごく基本的な事項ですので,合格のためには全問正解であることが望まれます。
合格のためには,どの分野もまんべんなく問われる学校なので極力「穴」を作らないことが大切です。また,発展的な知識量をとにかく増やすというよりも,受験勉強を通して何度も出会うような重要事項について,一つ一つの意味を丁寧に理解しながら,その背景やつながりをまとめる練習が欠かせません。
また,今年は出題数も少なかったですが,正誤を判断する選択問題の難度が高いことが桜蔭の社会の大きな特色ですから,日ごろの学習でもこの点を意識して取り組むことが重要でしょう。