筑駒の入試問題より

2013/6/27

有名・最難関中学校紹介知って得するマメ知識

 
近年の筑駒の理科では、ほぼ毎年電気回路の操作問題が出題されます。2013年は発光ダイオード、モーター、乾電池、リード線を使った回路に関する出題でした。発光ダイオードは、以前から入試で取り上げられている内容でしたが、近年は問題の題材として取り上げられることが大変多くなりました。御三家中学でも、2011年度に雙葉、2013年度に武蔵で題材として取り上げられています。

 私たちの生活の中で多く使われるようになり、入試でも頻出の内容になりつつある発光ダイオードとはどのようなものなのでしょうか。


 発光ダイオードは少ない電力で光を出すことができる光源のため、様々なディスプレイ(光を使った展示物です。看板やテレビ、信号、パソコンの画面など身近なところにたくさんありますね。)への応用が期待されていました。受験生であるみなさんは知っていると思いますが、光ですべての色を表現するためには、光の三原色、つまり赤色、青色、緑色の三色の光が必要です。もともと赤色発光ダイオードは実用化されていたのですが、青に近い色のダイオードは黄緑色までしか実用化されていませんでした。(虹の七色で考えてみましょう。青い色が無いと青色はもちろん、純粋な緑色のダイオードも作れませんね。)しかし、2001年に青色発光ダイオードが登場したことで、光の三原色がすべてそろい、今では、赤色、桃色、橙色、黄色、黄緑色、緑色、青緑色、青色、白色、紫といった様々な色の発光ダイオードが実用化されています。また、フルカラーLEDという赤色、青色、緑色の各色の光量を調整し、つくりたい色をつくることができるものまで実用化されています。こうしたことから、今では発光ダイオードは様々なディスプレイで活躍をしています。


 ではみなさんの身近にあり、また入試でもよく取り上げられる豆電球との違いを考えてみましょう。


 まずは光り方の違いです。みなさんは知っていると思いますが、豆電球は電球の中にあるフィラメントに電流を流すことによって発光します。これはフィラメントに電流が流れるとフィラメントの電気抵抗により熱が発生します。そして高温になることによって発生します。一方、発光ダイオードは半導体というものを使って発光します。半導体とは、電気の伝導体と絶縁体のちょうど真ん中の性質を持つ物質であり、周囲の環境によってどれくらい電気を通すのかを変化させることができます。発光ダイオードの両極にはP型半導体(電子がほしい。)とN型半導体(電子があまっている。)というものがついています。発光ダイオードはこの2つの半導体の間を電子が移動することによって発光します。N型半導体であまっている電子をP型半導体にわたすときに光のエネルギーができるのです。


 光っている豆電球をさわるととても熱いですね。これは前述の通り、フィラメントに電流が流れると熱が発生するからです。このように豆電球は電気のエネルギーを熱と光のエネルギーに変換しているため、使用した電気をすべて光に変えることができません。一方発光ダイオードは電気のエネルギーを直接光のエネルギーに変えているため、使用した電気をほぼすべて光に変えることができるのです。また、豆電球と比べると発光ダイオードはより少ない電気で発光させることができます。


 よく出題される問題として、豆電球や発光ダイオードに流れる電流の向きを逆にするとどうなるのか、というものがあります。これについて考えてみましょう。豆電球はフィラメントが左右対称のつくりになっていますので、どちらの向きにつないでもフィラメントに電柱が流れるので発光します。一方、発光ダイオードはN型半導体からP型半導体へと電子を移動させて発行していますので、電流の向きを反対にするとN型半導体からP型半導体へと電子を受け渡すことができなくなってしまいます。結果的に発光することができません。発光ダイオードは電流を流す向きが決まっている、というのはこのような仕組みからなのです。


 さて、豆電球と発光ダイオードの違いがわかりましたね。「違いがある」ということはどちらにもメリット(良いところ)とデメリット(悪いところ)があります。あえて書きませんが、最近入試で定番化しつつある発光ダイオードについて、ぜひ興味を持って調べてみてください。もしかすると調べた内容が、みなさんの受験校に出題されるかもしれません。


 受験の天王山ともいえる夏休みまであと一か月を切りました。暑い中での体調管理に気を付けて。


 頑張れ!受験生!


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


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