舛添要一前知事の辞職に伴う東京都知事選挙は、7月31日、投開票されました。
開票の結果、元防衛大臣の小池百合子氏が、元総務大臣の増田寛也氏、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏らを破って、初当選を果たしました。
政党の支援を受けない小池氏は、自民党都連との対決姿勢を鮮明にし、「東京大改革」(都政の透明化、五輪関連予算・運営の適正化、行財政改革の推進、都知事報酬の削減、特区制度の徹底活用など)を訴えて、広く支持を集め、圧勝しました。女性の東京都知事誕生は初めてのことです。
今回の都知事選挙には、史上最高の21名が立候補しました。開票結果は、以下の通りです。
立候補者数 21名
有権者数 11,083,306名
投票率 59.73%
候補者名 |
得票数 |
小池百合子 |
2,912,628 |
増田 寛也 |
1,793,453 |
鳥越俊太郎 |
1,346,103 |
上杉 隆 |
179,631 |
桜井 誠 |
114,171 |
マック赤坂 |
51,056 |
七海ひろこ |
28,809 |
立花 孝志 |
27,241 |
高橋 尚吾 |
16,664 |
中川 暢三 |
16,584 |
山口 敏夫 |
15,986 |
岸本 雅吉 |
8,056 |
後藤 輝樹 |
7,031 |
谷山雄二朗 |
6,759 |
武井 直子 |
4,605 |
宮崎 正弘 |
4,010 |
望月 義彦 |
3,332 |
山中 雅明 |
3,116 |
今尾 貞夫 |
3,105 |
内藤 久遠 |
2,695 |
関口 安弘 |
1,326 |
最終投票率は、59.73%で、前回選挙を大きく上回りました。
東京都が管轄する領域は、東京特別区(23区)、多摩地域(26市・3町・1村)および島嶼部(2町・7村)です。
東京都に住所を持つ人を「東京都民」あるいは、略して「都民」と言います。
人口は、13,617,445人(2016年7月)で、これは、日本の都道府県の中では最も多く、日本の人口の10%以上が住んでいることになります。
また、ベルギー(約1,116万人)やギリシャ(約1,102万人)、ポルトガル(約1,045万人)などのそれぞれの国全体の人口よりも多いことになります。
その東京都の首長が東京都知事で、任期は4年。被選挙権は、満30歳以上の日本国籍を有する男女で、東京都民が候補者の中から投票で選出するしくみになっています。
最近では、青島幸男氏(1995年~1999年)、石原慎太郎氏(1999年~2012年)、猪瀬直樹氏(2012年~2013年)、舛添要一氏(2014年~2016年)が務めていますが、猪瀬氏、舛添氏については、いずれも政治資金の問題により、任期途中で辞職しています。
現在、東京都の職員数は、一般行政職だけでも18,000人以上で、さらに警視庁職員、都立学校の職員、消防吏員、都の公営企業部門(都営病院・交通・上下水道など)まで含めると、総計約17万人近い職員を抱える巨大な組織になります。東京都知事は、東京都の職員の頂点に立つ者としてこの組織を指揮します。
東京都庁舎は、かつては千代田区有楽町にありましたが、1991年4月1日に現在の新宿区西新宿に移転しました。都知事の執務室も東京都庁舎の中にあります。
小池百合子新知事は、3つの「新しい東京」を公約に掲げています。
(1)セーフ・シティ東京
『もっと安心、もっと安全、もっと元気な首都・東京』
①住宅の耐震化・不燃化を2020年までに加速させる。
②都道の電柱ゼロ化、技術開発を支援する。
③新たなテロへの脅威に備え、公共施設や重要施設でのセキュリティー対策を本格化する。
④町会・消防団の機能を高め、支援する。
⑤商店街維持発展のために、事業承継対策と空き店舗の活用などを推進する。
⑥多摩格差をゼロへ。
⑦環境に配慮しつつ、島嶼での命と安全を守る。
⑧災害時にも使える乳児用液体ミルクの普及を図る。
など
(2)ダイバー・シティ東京
『女性も、男性も、子どもも、シニアも、障がい者も、いきいき生活できる、活躍できる都市・東京』
①女性が健やかに希望を持って、生き、学び、働き、愛し、子供を産み、育む社会を実現する。
②「待機児童ゼロ」を目標に保育所の受け入れ年齢、広さ制限などの規制を見直す。
③あらゆる都内遊休空間を利用し、保育施設、介護施設不足を解消。同時に、待遇改善等により保育人材、介護人材を確保する。
④都立高校跡地を韓国人学校に貸与する前知事の方針は白紙撤回。
⑤高齢者・障がい者の働く場所を創出。ソーシャルファームの推進。
⑥健康寿命延伸のための予防医療、受動喫煙対策を推進し、地域の医療機関を支援する。
⑦「残業ゼロ」などライフ・ワーク・バランスの実現を、都庁が先行実施する。
⑧満員電車をゼロへ。時差出勤、2階建通勤電車の導入促進。
⑨都独自の給付型奨学金を拡充し、英語教育を徹底する。
⑩「ペット殺処分ゼロ」を実現。
など
(3)スマート・シティ東京
『世界に開かれた、環境・金融先進都市・東京』
①エコハウス・スマートハウスへの補助を強化する。
②都内のガソリンスタンドをエネルギーステーション化。
③街灯や公共施設のLED化。
④老朽廃棄物処理場の集約。
⑤ヒートアイランド対策の強化と、都市農業の維持、発展。
⑥東京の森林を守り、若者たちの就業の場とする。
⑦アジアナンバーワンの国際金融市場としての復活。
など
小池新知事の述べる「これまでにない都政、これまで見たことのないような都政。」を期待したいものです。