夏の暑さが過ぎ去り、涼しい日が続いています。
受験生のみなさんは9月も終りに近づき、それぞれの学校別模試なども経験し、よりいっそう受験勉強に励んでいる時期だと思います。
さて、筑駒の生物の問題では、ほぼ毎年動物の観察問題が出題されます。今年の出題はオタマジャクシからカエルへの変態の様子を選ぶ問題でした。
オタマジャクシにとっては尾が、カエルにとってはあしが運動器官です。あしが出来る前に尾がなくなってしまうとオタマジャクシが動くことができなくなってしまいます。ですので、まずあしが生えて、その後に尾が短くなります。
何気なく教科書に出てきた内容も、論理的に考えればより深く理解できることがわかりますね。
「変態」は生きている間に体の形態を変化させることを指します。「完全変態」「不完全変態」「無変態」というように昆虫がからだの形態を変化させることはみなさん知っていますね。
昆虫以外に「変態」する動物を考えましょう。
カエルのような両生類は幼生から生態へなるときにえら呼吸から肺呼吸へ、からだのつくりも水中生活へ適用したものから陸上生活へ適用したものへと変態します。なかにはアホロートル(ウーパールーパー)のように水中生活のまま(つまりえらが残りますね)変態するものもいます。
甲殻類の一部、エビやカニの仲間の中にも変態するものがいます。これらの幼生は、産まれたときには小さなノープリウスと呼ばれる姿をしていて、プランクトンのような形をしています。変態と脱皮を繰り返し、みなさんがよく知っている姿になります。
棘皮動物(ウニやヒトデの仲間)も幼生の時期と生態の時期では体のかたちが大きく異なります。ウニの幼生は最初はプランクトンのように海中を漂っていますが、その後プルテウス幼生と呼ばれる形態に変態し、岩場に定着します。そしてみなさんのよく知っている姿へと変態します。
また、魚類の中にも変態するものがいます。代表的な例としてはウナギです。日本に生息しているウナギの産卵場所は長い間知られていませんでしたが、数年前に日本のはるか南のマリアナ海溝であることがわかりました。海で孵化し、川で成長したウナギは再び自分の産まれた海へと戻って産卵します。孵化したばかりのウナギはヤナギの葉のような形をしています。この理由がわかりますか?はるか南の海で産まれた子ウナギは長い距離を移動し、日本へとやってきます。このとき、海流を利用します。もうわかりますね。海流に乗りやすいように葉っぱのような形をしています。
「変態する」ということは、短い一生の間にまわりの環境に応じてからだのつくりを「進化させる」ということと言っても良いでしょう。
普段の学習をしている間や模試の結果が出てきたときに、みなさんは前へ前へと進化していますか?
現状の自分に満足せず、常に高い目標に向かって突き進んでいく姿勢がこの時期の受験生にとっては大切です。そうすることで、みなさんもより一歩前へ進んだ自分へと「進化」していくと思います。
がんばれ!受験生!