2014年4月14日、火星が地球から約9239万kmまで接近し、夜空に明るく輝く様子を観測することができました。今回地球に接近した火星は等級がマイナス1.4等星の明るさで見えたため、肉眼でもはっきりと観察することができ、ほぼ満月(満月は4月15日)の月と並んで明るく見える様子は、大変神秘的で美しいものであったと言えます。
火星は太陽の周りを約687日で公転しています。地球は365日で公転していますね。今、太陽-地球-火星の順に天体が一直線に並び(この位置を「衝」といいます)、再び同じように並ぶと火星が地球に接近します。この「衝」から「衝」までの月日(周期)のことを会合周期といいます。
会合周期は、算数の速さで扱う「追いかけ算」の計算で求めることができます。
火星は1日で太陽のまわりを360度÷687日≒0.5240…度公転し、
地球は1日で太陽のまわりを360度÷365日≒0.9863…度公転します。
ですから、会合周期(地球が火星に追いつくまでの周期)は、
360度÷(0.9863-0.5240)=778.7151日となります。
(受験生のみなさん、会合周期を入試問題で聞かれた場合は次の公式を利用しましょう。もっと素早く会合周期を求めることができます。「会合周期=公転周期の積÷公転周期の差」です。火星と地球の場合、(687×365)÷(687-365)≒778.7422…となり、ほぼ同じ答えが求められます。)
火星はおよそ779日に1回地球に接近していることがわかりました。これは2年2ヶ月に1回ほどの頻度です。近年の火星の接近をまとめてみると、2003年8月27日に地球から約5576万kmまで大接近(火星と地球が特に近づくこと)したものから、2005年、2007年、2010年、2012年、今回と接近しています。今回の接近での火星と地球の距離が9239万km、2003年の大接近では5576万kmと大きく違いがあります。これは地球の公転軌道がほぼ円形であるのに対し、火星の公転軌道が楕円形に近い形であるため、接近のたびに地球と火星の距離が変化するために違いが生じます。地球により接近したときの方が火星はより大きく、より明るく見ることができます。火星はおよそ15年に一度大接近をしますが、2003年の距離まで接近したのはおよそ5万6000年ぶりだと言われています。これから火星と地球が接近するのは2016年5月30日、2018年7月31日の予定です。2018年は2003年から15年後ですから、大接近を観察することができます。
こういった天体ショーは中学入試でテーマとして取り上げられることが大変多いです。2014年度の入試においては、桜蔭中学校でパンスターズ彗星に関する問題が、開成中学校で金環日食に関する問題が出題されました。近年起こった天体に関するニュースはもちろん、身のまわりで起きている現象に対して興味を持ち、見聞を広げることがこれらの問題を解くために必要な力と言えます。
火星の接近の他にも2014年には様々な天体ショーを観測することができます。ニュースやインターネットで事前に調べて、ぜひ自分の目で観察し、体感してください。
受験生のみなさんにとっては受験の天王山ともいえる夏休みが始まりました。暑さに負けず、自分の限界まで自分を磨き上げ、誰よりも強い受験生となりましょう。
気分転換が必要になったとき、ふと夜空を見上げてみてください。たくさんの星がみなさんを応援していますよ。
頑張れ!受験生!