今年、麻布中学の理科入試問題で光の問題が出ました。
光の進み方を17世紀のフェルマーという科学者の原理をもとにして考えさせる問題です。受験生の皆さんはおそらくフェルマーという科学者の名前も、その科学者がどのような研究をしていたかも、あまり知らなかったのではないでしょうか。もちろんフェルマーのことを知らなくても問題が解けるようにつくられています。フェルマーが考えたことを具体的な例を示しながら説明した問題文になっているので、問題文をきちんと読んで考えていけば解き進めていくことができるようになっています。よって問題文の内容がきちんと理解できていて、その内容にそって解くことができれば十分に高得点を得ることがでる問題になっています。
中学入試の理科の問題には、このようにときどき科学者の名前が登場します。たとえば今年もイギリスの科学者プリーストリーの実験を題材にした問題が複数の学校で出ていました。ここ数年、プリーストリーの実験はよく入試問題で扱われているので、受験生の皆さんは参考書や問題集で見たことがあるかもしれませんね。
そこで思うのは、まったく知らない科学者の名前が登場し、その科学者の実験や発見した考え方を初めて問題文で読んで入試問題に挑戦するのと、伝記を読んだことがある、お話として聞いたことがある科学者の名前や実験が問題文に登場したときでは、その問題に対する印象がまったく違ってくるのではないでしょうか。もちろん問題の題材となる科学者のことを知っていても、知らなくても問題を解くのに支障は無いようにつくられています。しかし、実際に問題を解く皆さんの気持ちはどうでしょう。やはり知っている科学者の名前が登場したときは、たとえ実験や考え方を知らなかったとしても、「この問題、解けるかも」と思えるのではないでしょうか。
中学入試では気持ちのつくり方がとても大切です。もちろんそもそもの実力が無ければ問題を解くことはできませんが、逆に実力があっても、気持ちが負けているとその実力を十分に発揮することができないことがよくあります。「受験生の気持ち」が想像以上に大きく受験の結果を左右する場面をたくさん見てきました。ですから入試問題に対して少しでも強い気持ちで取り組むことができるようになるためのヒントとして、大きな発見をした有名な科学者の名前だけでも知っているとよいのではないでしょうか。