いじめによる自殺という痛ましい事件があとを絶ちません。生徒によるいじめももちろん問題ですが、福井県では教師の行き過ぎた指導による生徒の自殺という、あってはならないことが起きてしまいました。新聞、テレビでは教師による「言葉の暴力」「言葉による体罰」「パワハラ」「いじめ」だと厳しく糾弾されていました。
私たち塾教師も、大切なお子さまをお預かりする立場として、改めて、広い意味での指導力が問われていると痛感しております。
「筑波大駒場中」の「学校いじめ防止基本方針」を参考にさせていただきます。
まず、筑駒のホームページを見ると、トップページの下の方に上記タイトルが出てきます。
「いじめ防止のための基本的な取組みとその措置」のところで
(1)未然防止のための取組み
(2)早期発見のための取組み
(3)発見したいじめに対する措置
(4)重大事態発生に対する措置
の4項目に分けて、具体的な対応策が書かれています。
このうち(1)「未然防止のための取組み」が大変参考になりますので、ご紹介させていただきます。
①魅力ある授業づくり
②学級活動・道徳(中学校)とHR活動(高等学校)の充実
③学校行事の充実
④部活動や委員会活動の充実
⑤悩みを一人で抱えない体制づくり
筑駒に通っている教え子に以前、「いじめはないの」と聞いたところ、「そんなくだらないことする奴はいませんよ」という答えが返ってきました。
塾に置き換えれば、まず「授業の充実」が大切だということになると思います。生徒に「あっという間に終わった」「もう終わり」と感じてもらえるような、充実した授業を提供出来れば、生徒同士の「いじめ」など生じにくい環境が整うのだと思います。
教師による言葉の選択にも、気をつけなければいけません。頑張らせるつもりでかけた言葉も、生徒の心を傷つけたり、やる気をなくさせる結果になったのでは、本末転倒です。
塾教師にも指導哲学が必要だと思っています。私は、以下のような思いを胸に授業を担当しております。
①塾に来てくれているだけで、みんなすごい。
4年生以上は、週に3日通塾で、サラリーマンが9時~5時に働いた後、週3日、専門学校や習い事に通っている、と想像すると、みんな大変なことをしているんだなと思えます。
②プラスの言葉を、なるべくかける。
ここはなかなかパーフェクトとはいかず、反省点の多いところですが、大人でも、お世辞だと思っても、ほめられるとうれしいですよね。まして子どもにとって、先生にほめられたというのは、私たちが思っている以上にうれしいことのようです。
スピードに課題がある子に「おそい!」と言ってしまいがちですが、それで速くなるのでしょうか。「ていねいだね!」という声のかけ方もあるはずです。長期的にみて、どちらの声かけが、子どもの心に届き、結果的に「速さ」につながるのか、何を信じて指導するのか、常に振り返りが必要だと思っています。
③自分の授業を、受けてくれていれば、それだけで伸びる、出来るようになる。
随分強気な発言に聞こえるかもしれませんが、逆に受けても伸びない、出来るようにならない授業があっても良いのでしょうか。そのような授業に価値があるのでしょうか。
ここのポイントは、まず、「受けてもらう」ということです。授業に参加してもらえなくては、伸ばしようがありません。生徒が授業に参加するのが待ち遠しくなるような、楽しみにしているような授業であれば、生徒たちの「伸びる芽」は確実に育っていくはずです。
とはいえ、まったく課題宿題をしない、というのではなかなか成績は上がらない、という厳しい現実があるのも事実です。実は授業のなかに、生徒たちが自主的に課題宿題をやってきたくなるしかけが、いろいろあるのです。これはまた、機会があればご紹介したいと思います。
大切なお子さまをお預かりしている、という自覚を常に忘れず、ご指導してまいります。
お気づきの点がありましたら、遠慮なくご指摘下さい。反省のないところに成長はない、と思います。教師の成長が、お子さまの成長、そして志望校合格にもつながるのだと信じています。