昨今の算数の入試問題では、計算をして答えを数字で答えるだけではなく、ある事柄について理由を説明する記述問題が出題されることが増えてきています。1問、例題を解いてみましょう。
【問題】
1円玉、10円玉、100円玉、1000札を合せて60枚使ってちょうど10000円を支払うことはできますか。できる場合はその例を、また、できない場合はその理由を説明しなさい。
いかがでしょうか。一見できそうです。枚数に決まりがなければ、どんな場合に10000円を支払うことができるでしょうか。例えば1円玉10枚、10円玉9枚、100円玉9枚、1000円札9枚の計37枚なら10000円になりますよね。あとはここから、うまく両替すれば……。とここで、できないのではないか?と気づくことが大切です。この状態から例えば100円玉1枚を10円玉10枚に両替すると、合計の枚数は9枚増えますね。すると両替によって増える枚数は9の倍数になるはずです。しかし、37にいくら9の倍数をたしても60枚にはなりませんよね。よってできないということはわかるでしょう。
さて問題はこれをどう記述するかということです。さきほどの状態をうまく文章にしても得点はもらえるでしょうが、ここではさらにポイントとなる考え方をお教えしようと思います。それは、「余りに注目する」ということです。さきほど9の倍数がカギになることに気づくことができました。ここで、1、10、100、1000、10000という数字を見てみると、これらはすべて9で割った余りが1であるということに気づきます。つまり、この問題は、
「9で割って1あまる数を60個たして、9で割って1余る数を作れるか」という問題だったのです。9で割って1あまる数を60個たすと、1×60÷9=6余り6ですから、9で割って1余る数にはなりません。正解例としてはこのような文章になるでしょう。
【答え】
1、10、100、1000はすべて9で割ると余りが1の数であるから、60枚すべての合計を9で割ると60÷9=6余り6となる。しかし10000は9でわると1あまるので、いかなる組合せでも、合計を10000にすることはできない。
このように余りに注目して理由を記述させる問題は出題頻度も比較的高いので、このような発想は覚えておくとよいでしょう。