改元の年に「色」を考える

2019/5/16

エクタスニュース

 

 皆さんはどんな色が好きですか?きっとその色は、皆さんの服や靴、身の回りのいろいろなものに使われていることでしょう。今は、様々な色の中から、自分の好きな色のものを選ぶことができるのが当たり前になっていると思います。しかし歴史を振り返ると、身分や官位によって身につけることのできる色が決められていたり、色が身分を表すのに用いられたりと、自由に好きな色を選んで身に着けることができなかった時代がありました。今回はそんな「色」についてお話ししたいと思います。


新しい元号「令和」が「万葉集」を元に考案されたことは皆さんも知っていると思いますが、「万葉集」にはこのような「色」に関わりのある歌があります。


「あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖ふる」(額田王)


ここで出てくる「紫野」とは、当時紫色を染めるのに使われていた「紫草(ムラサキ)」をとるための場所ですが、「紫草」は栽培が難しく、そこから採れる染料もとても希少なものでした。そのため、古代では紫色は神秘的で高貴な色とされており、一部の身分の高い人しか身に着けることを許されていなかったそうです。聖徳太子が定めた「冠位十二階」でも、紫色は最高位の冠の色とされていましたよね。他にも、「○○色を身に着けられるのは△位以上の者だけ」といった細かい決まりごとがあり、自由に色を選ぶことのできる現代とは程遠いことがわかります。


 改元の年となった今年は、こうした「古くからの色の決まりごと」を目にするチャンスがありそうです。例えば平成最後の日となった430日の午前、前の天皇陛下(上皇)は宮中三殿(天皇の祖先や神々をまつった場所)に退位のご報告をされましたが、そのとき身に着けられていたのは「黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)」という赤みがかった黄色の束帯で、これは平安時代から天皇のみが身に着けることのできる色とされているそうです。また、平成の即位礼正殿の儀では、女性皇族はいわゆる「十二単」と呼ばれる衣装を身に着けられましたが、一番上に羽織る「唐衣」に白を用いることができるのは皇后のみとされていますし、他にも年齢や立場によって細かな色の違いが見られました。1022日に予定されている即位礼正殿の儀を始め、今後の一連の儀式ではぜひそのようなところに注目してみてはいかがでしょうか。


関連記事related posts

エクタスニュース

2017年 筑波大附属駒場中 入試問題講評

2017年2月3日に行われた筑波大附属駒場中入試問題の講評を掲載します。 国語はこちら⇒2017tsukubakomaba.kouhyou.kokugo.pdf 算数はこちら⇒2017tsukubakomaba.kouh…

エクタスニュース

学校説明会参加の極意 ~校風に合う?~

1学期も後半になり、各私立中学でも学校説明会などが開催される時期になりました。 志望校を決める際、偏差値だけで判断することはないと思います。その学校の校風であったり、方針などをよく吟味し、かつ通学時間や設備などにも目を光…

エクタスニュース

小6志望校別対策講座(御三家・栄光・聖光・フェリス)

エクタス横浜校の受付を開始してから約1か月が経ちました。現在まで多くのお問い合わせをいただいております。ありがとうございます。 これからも、「子どもたちの夢の実現」に向けて、取り組んでまいります。 横浜校は、小1~アルゴ…

新着記事latest posts

2024/3/29

お知らせ

小1コース:【無料】特別体験会

小1のお子さまを対象に、無料で授業体験できる『特別体験会』を実施します。ぜひこの機会にエクタスの指導をお試しください。 ■日程4/6(土)・13(土)・20(土)・27(土) ■会場・授業時間・池袋校:15:50~18:…

お知らせ

2024/3/28

エクタス算数科駒東

【2024年度入試から~駒場東邦算数~】

2024年度の中学入試が終了しました。受験生の皆さんはお疲れ様でした。今回はその中で駒場東邦中の入試について取り上げます。 駒場東邦中の入試は個人的には数学的要素が強い傾向があると感じています。本年もそんな出題がありまし…

エクタス算数科駒東

2024/3/21

エクタス理科より雙葉中

雙葉中の理科の入試問題より

少しずつあたたかくなってきて、春らしい日が続いていますね。塾では新学年としての勉強がスタートして2ヶ月が経とうとしています。みなさんは日々学習に励んでいると思います。 さて、2024年度の雙葉中の理科では、1923年9月…

エクタス理科より雙葉中

pagetop