GWも終わり、2か月もすればもう夏休みです。受験生にとっての「天王山」も目前に迫りました。光陰矢のごとし、などと言われますが、月日の経つのは本当に早いものです。
2024年度の筑駒・開成の国語は相変わらず記述問題がメインでした。筑駒では詩の単独出題がなくなり、文学的文章の中に詩が含まれる、という変化がありました。また、記号選択の問題も出題されました。開成では、大問1と2で記述のスタイルを変えてきました。説明的文章は字数指定、文学的文章は解答欄(行)の大きさによっておおよその字数を推測しなければなりません。また、数年ぶりに抜き出し問題も出題されました。とは言え、最難関と言われる中学の国語入試問題は記述問題の出来具合によって差がつくと言えます。ただ、一口に「記述問題」と言っても、学校により出題のされ方や解答用紙の形式は異なります。しかし、各中学校の国語の先生方が受験生に求める力は同じはずです。
まず、字数指定の有無に関わらず、内容と解答欄の大きさ等から、書く分量の目安を決めてからまとめることが重要です。設問内容や設問の指示から、解答の「柱」を決めた後、書き足す「材料」もある程度絞ってから書くようにしないと良い答案は書けないでしょう。
ところで、2017年度の開成中の国語の解答用紙に注意書きがあったことは以前も書きました。(当時の開成中の記述問題は字数指定がなく解答欄は「行」でした。)
「1行のらんに2行以上書いたもの、小さすぎる字は減点の対象にします。」
言うまでもなく、「だらだらと余計なことまで書き連ねるのではなく、設問の意図を正確に読み取り、必要最低限の言葉で説明しなさい」という意思の表れでしょう。裏を返せば、だらだらと細かい字で書く受験生が後を絶たない、とも考えられます。
小学生は学校で作文の宿題が出たときなどは「5枚も書かなくてはいけない」というように、量が多いことを苦痛に感じる人が多いようです。でも、実際は長く書く方が本当は楽なのだ、と知っている人はどれくらいいるでしょう。開成中の注意書きは、図らずもそのことを言い当てているように思えます。書く内容を広げだらだらと書き連ねていけば、どこかに出題者の意図と重なる部分も入ってしまう、でもそれ以外の内容の方が多く書かれていたのでは、きちんと理解できたとは言えませんね。
そもそも、自分の考えをある程度の分量の言葉で相手に説明するわけですから、書き出す前におおよその流れ・分量・結論が決まってから書き出すべきなのです。しかし、そうした手順を踏まずに、とりあえず思いついたことを書き始めてしまう。すると、書いているうちに「これも入れよう」「このことも触れよう」…とどんどん分量が膨らみ、とても2行では書き切れそうもない。仕方がないからどんどん小さい字にして何とか解答欄に収まるようにしよう…そんな答案が目に浮かびます。
あくまでも記述問題は「読んでもらうもの」ということを忘れないようにしましょう。自分さえ読めればいい、少しぐらい雑になってもかなわない…そんな意識で書いた答案は「読んですらもらえない」と肝に銘じましょう。
小6の皆さんにとって残り約8か月。テストの時だけでなく、日頃のノートや家庭学習も、「丁寧に」「読みやすく」書く意識を持ちましょう。