低学年での算数の学習、「応用」で止まっていませんか?
こんにちは、エクタスの荒井です。
文部科学省等で議論されている教育目標の分類の1つとして、ブルーム・タキソノミーがあることをご存じでしょうか。この分類を使用して、深い学びを引き出す「生徒への質問」があります。「生徒への質問」については後ほど紹介いたします。まずはブルームのタキソノミーによる教育目標ついて説明いたします。
- 知識(記憶):これは学習の基礎で、生徒が事実、用語、基本的な概念を記憶し、覚える段階です。
- 理解:生徒が学んだ情報を理解し、それを自分の言葉で説明したり、要約したり、分類したりする能力です。
- 応用:ここでは、生徒が新しい状況に既に学んだ知識を応用する方法を学びます。たとえば、数学の公式を新しい問題に応用することが含まれます。
- 分析:この段階では、情報を部分に分け、その関係性や組織構造を理解することが重要です。生徒は、原因と結果の関係を理解したり、複雑な概念を分解して分析する能力を身につけます。
- 評価:生徒は情報やアイディアを評価し、判断を下す能力を身につけます。これには、論理的根拠や基準に基づいて、アイディアの妥当性を判断することが含まれます。
- 創造:最も高い段階で、生徒は新しいアイディアを創造したり、既存の情報を組み合わせて独自の解決策を生み出したりします。
ブルームの分類体系は、教育者が生徒の思考と学習のプロセスをより深く理解し、それに応じた指導を行うのに役立ちます。それぞれの段階は、前の段階に基づいているため、生徒がより高度な思考スキルに進むには、それぞれの段階を順序良く理解していくことが重要です。
日本における教育の問題として一般には、「応用」で学習が止まってしまっていることが多く、「分析」「評価」「創造」が今後の日本における学習で重要だと言われています。
小学校低学年は、「分析」「評価」「創造」の学習を行うチャンスです。高学年の受験カリキュラムでは、多くの生徒は、毎週の学習時間の制約から、「応用」までの学習で時間が足りなくなってしまうことが多いからです。
これらの学習目標に近づけるための生徒への質問(発問)は次のようなフレーズがあります。使用する用語は学年によって異なります。
実際には少し親しみを込めて質問します。
「この問題で見つけたパターンや規則性は何ですか?」
「別のアプローチでこの問題を解く方法はありますか?」
「問題を組み合わせて、新しい複雑な問題を作ることができますか?」
「この考えを他の算数の問題や実生活の状況とどのように結びつけることができますか?」
「この問題に対するあなたの解答に自信はありますか?なぜですか?」
「このアイディアについて、さらに学びたいことや改善したいことはありますか?」
いかがでしょうか。たくさんのフレーズがありますが、一例を記載しました。コーチングの質問後に、アクティブリスニングやフィードバックが続くことは言うまでもありません。
ブルームの分類は、単に知識を覚えるだけでなく、それをどのように使うか、考えるか、新しいことに応用するかという過程を大切にしています。それぞれの段階をクリアすることで、より深く学び、理解を深めることができると思います。
筑駒・御三家・駒東を目指す低学年の生徒は、深く学ぶことが大切です。
「応用」にとどまらず、「分析」「評価」「創造」へ学習を深化させる必要があると感じますます。